内容説明
偶然手に入れた歌川広重の浮世絵が、敏腕TVプロデューサー朝比奈に過去の事件を思い出させた。十数年前、旧長浜駅舎で広重の原板が発見されたが、数日後に偽物との鑑定が下ったのだ。入手した浮世絵は、その一件と関わりを持つものではないか?朝比奈はディレクターの金井恵実と旅番組の取材をかねて、記念館となっている旧長浜駅舎を訪ね、殺人事件に巻き込まれるが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PAO
17
「鉄道史に燦然と輝く長浜駅の歴史を今に伝える唯一の生き証人と言ってもよかった」…湖北に春が訪れるころに長浜に行こうと思っているので読んでみました。ミステリ15%、サスペンス15%、歴史10%、旅情5%、ロマンス5%、鉄道愛50%…といった感じで作者の長浜駅や鉄道に対する熱い思いが書かせた本と言えましょう。内容は突っ込みどころいっぱいなのですが古き良き時代の二時間ドラマっぽくて予定調和感に安心するような懐かしい思いを抱きました。長浜に行ったら折角ですので鉄道記念館(現・長浜鉄道スクエア)も寄ろうと思います。2023/03/20
紫
3
まるで2時間サスペンスを見るような、観光地タイアップ?ミステリであります。基本のプロットは現在進行形の殺人事件と過去の浮世絵贋作事件をテレビ業界人が追いかけるというもの。お話自体はテンポよく淀みなく、適度にライトに進んでいくのですが、強引な設定と展開に有り得ないような偶然がやたらと多くて、あろうことか作中の登場人物から「偶然とは恐ろしいね」とツッコミが入ってしまいます。おいおい。著者の本業(?)といえる鉄道関連の豊富な知識に比べて、浮世絵については付け焼刃気味なのが何とも残念。星4つ。2018/02/15
もと
2
琵琶湖疎水やインクラインを使ったトリックがユニーク。物語の舞台となっている80年代の京都や長浜の風景も懐かしい。長浜へ行ったり、近江鉄道に乗ったりした頃のことを思い出した。2024/08/12
二葉
2
「鮎川哲也と十三の謎」の配本なので、勝手に鮎川哲也のような作品を期待したのが間違いだったのか、読後はすごくガッカリでした。多分、この作者は集めないと思う…2016/03/01
Tetchy
2
どうしてこんなにもごくフツーのミステリが創元推理文庫で出るのか、それこそがミステリだ。2008/12/30