内容説明
高学歴、高収入、おまけに長身。絵に描いたような三高の彼氏に言い寄られ、めでたく結婚と相成ったわたし。ところがどっこい、好事魔多しどころか、好事だったかどうかも怪しくなってきた。我利我利の生姜野郎で、度しがたい悋気の虫、加えて激したときのお下劣なことといったら。夏の終わり、新規蒔直しを期して赴いた山荘での出来事は、カタストロフィを招来することに…。
著者等紹介
天藤真[テンドウシン]
1915年8月8日東京生まれ。東京帝国大学国文科卒業。同盟通信記者を経て、戦後は千葉県で開拓農民となる。1962年「宝石」誌に「親友記」を応募し佳作入選。1979年『大誘拐』で日本推理作家協会賞を受賞。1983年1月25日死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco夏ko10角
21
10の作品収録の中短編集。71年~76年。『父子像』『三枚の千円札』『死神はコーナーに待つ』が良かった。2021/02/01
MIKETOM
9
天藤短編集を読んだのはこれで四冊目だが、これが一番いいね。天藤にしては珍しく性的な話が多い。長編の注文が全然来なかった時期に書かれた作品群ってことで、精神的にやや攻撃的になってたってことなんだろうかね。100ページの中編が二編ありこれはなかなかコクのある読み応えのある作品だったが、それとは別に一番のオキニは『背面の悪魔』ってヤツ。これが一番エグいかな。結局、姉の死因はなんだったのか。今後どう展開していくのか、かなり気になってしまった。実際、どうなるんだろうね。天藤作品の中では異色作の本書、なかなかです。2019/05/15
Tetchy
7
粒揃いの傑作ばかり。特に「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」の2編は所謂倒叙物の体を成しており、自明の理だと思われていた事件が全く予想外の証言や真相が出没し、正に頭の中を揺さぶられる感覚がした。他にも“日常の謎”ものである「父子像」やミステリアスな結末の「背面の悪魔」、ストレートな「女子校生事件」、実に深い余韻を残す「三枚の千円札」など読み応え十分!2009/07/11
みお
5
読メでおすすめいただいて、読みました。ありがとうございます!おもしろかった〜。『大誘拐』と『遠きに目ありて』しか知らなかったので、エロティックでブラックな短編が多くて驚きました。『三枚の千円札』のラストの盛り上がり、そして『死神はコーナーに立つ』が一番のお気に入りです。物語も真相もそして人物も二転三転する楽しさ。特にラストの意外な展開にはどきどきわくわくしました。いいな、好きだなこういうの。2012/01/30
KAKO
2
天藤さんって、こんな話も書く作家さんなんだなあ、とびっくりした。女性の描き方というか扱いが昔の男性目線という感じ。今の時代はこんな書き方はできないのでは。ちょっと健全でない感じがおもしろい短編・中編集だった。2016/01/31