創元推理文庫<br> 死角に消えた殺人者―天藤真推理小説全集〈8〉

電子版価格
¥660
  • 電子版あり

創元推理文庫
死角に消えた殺人者―天藤真推理小説全集〈8〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 467p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488408084
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

驟雨に洗われた坂道を疾走し、三途の闇に向かって崖縁を飛び越えた真新しいブルーの車体。星影もない暗夜の出来事は、翌朝の陽光に惨たらしい名残をさらす―。千葉県銚子の景勝屏風浦で非業の最期を迎えた四人は、謀殺の犠牲と断じられるにも拘らず、生前の交友関係を推し量るべくもない。当局の捜査は次第に昏迷の度を加え、徒に日を送るばかり。そして事件発生から一月…捜査本部で重大発表が行われるとの通知を受け、時には連携して真相を追っていた遺族たちが参集、報道陣が幾重にも取り巻く中でハイライトシーンを迎える。この日、母の亡骸に復讐を誓った塩月令子にもひとつの転機が訪れ、局面は更なる展開を見せることに。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

セウテス

64
〔再読〕天藤作品といえば、その設定の奥深さや意外性に毎回驚かされる。物語は崖下から引き揚げられた車に、四人の男女の遺体が見つかる。問題はこれが殺人事件であり、四人の間には全く繋がりが見られない事である。ミッシングリング、隠された繋がりを捜すミステリと思ったのだが、いやいや天藤作品はそれでは終わらない。主人公の成長する姿を描き、人々の悲哀や笑い、優しさやどす黒さと人間観察の細やかさがある。アッと驚かされる視点の死角は、ミステリの基本的考え方を思い出させてくれる。ただ主人公が、好きになれなかったのは残念だ。2017/12/09

たか

50
【再読】 崖下から引き揚げられた車に、4人の男女の殺害遺体が見つかる。4人の間にはなんの繋がりもなく、殺害される動機のある者もいない。その中で遺族の一人が探偵となり他の遺族とも協力しながら犯人を捜していくのだが…。▼ 隠されたミッシングリングを探していくのかと思いきや、ストーリーは思わぬ方向へ進む。 ラストは、心理の死角をついた真相。まさに『死角に消えた殺人者』 少し背筋が凍る思いがした。C評価2024/10/14

coco夏ko10角

26
大破した車の中にあった四名の遺体、その四人のつながりは?そのうちの一人が母親であった令子はなんとか情報を得ようと頑張るが…。この令子が良くも悪くも素直な上にぽんぽん行動に移すのでちょっとハラハラする。しかしそれが終盤につながっていくのだなと。今回も面白かった。2020/11/15

geshi

24
主人公である令子の自己中さは好き嫌いはあるとしても、真っ直ぐで気丈で騙されやすくて危なっかしいキャラクター造形がリーダビリティになっている。天藤さん作品の中ではユーモアが少なく人間のブラックさを表に出しているが、令子の助けとなる人達の優しさが安全網として用意されているのは天藤さんらしい。令子が母親の死を通して色々な人達の悪意や計略にさらされながら成長していくプロット自体が一種の叙述の罠であり、最後に真犯人の意図を見抜くまでになる、成長譚とミステリーの合わせ技が巧い。2015/06/03

Tetchy

9
正に天藤ワールドのエッセンスが詰まっているのだが、どこか空虚な感じが残っており、充実感がない。それは今回の主人公は決して読者の共感を得る存在ではないからだろう。また、死んだ母親が令子の導き手として頻繁に出てくるのはどうしたことだろうか?作者も年を取り、ある意味、独特の死生観を持つに至ったのだろうか。これが結末にも演出として使われていたのは逆効果で、温かい余韻を持たせようという作者の魂胆が見え、私にはあざとく感じたのである。2009/06/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/481250
  • ご注意事項

最近チェックした商品