内容説明
「困っちゃった、わたし、人を殺したの」結婚するから別れて欲しい、と言われ、かっとなって相手を突き飛ばしたところ、打ちどころが悪くて死んでしまった、という友人の告白を聞き、内縁関係にある女性で結成したグループの面々が架空の犯人をでっち上げたまでは良かったが、いないはずの人物に瓜二つの人間が実在したから話は混沌として…。予断を許さぬ展開と意外な結末。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
53
〔再読〕基本的なシチュエーションが、変わっていて面白い事が、天藤作品の特徴でもあります。その人間関係がコミカルであり、人情味が有り、ミステリーである処が難しさであって優れている処だと思います。しかし今回は初期の作品でもあり、グループが入り乱れる事で少しまとまりに欠けた感があります。過って人を殺してしまった仲間を助けようと、出鱈目な犯人を証言するグループ。犯人に間違われ、無実を証明しようとするグループ。婚約者を殺され、犯人を見つけようとするグループ。三者の人間模様がほっこりさせてくれるのは、変わらりません。2015/03/09
geshi
32
人死にがあってもコメディチックな空気感と人に寄り添ったヒューマニズムはやはり天藤作品。内妻のみで作られたIGグループ・でっちあげられた偽犯人のそっくりさん・婚約者と仲間たちの3組が入り乱れて二転三転するストーリー展開は、試みとしては面白いんだけどまとめ上げる力量が足りていなかった。キャラクターは立っているし、読者の裏の裏をかくオチも用意されているが、中盤のとっちらかりのせいで頁数少ないのに読む際の集中力が途切れてしまった。幕切れのもの寂しさは好みではあるんだけどなぁ。2020/04/08
coco夏ko10角
23
架空の犯人をでっちあげた側であるIGグループとたまたまその架空の犯人にそっくりな男と友人たち、それから被害者の婚約者と関係者によるそれぞれが知ってる情報、推理、からみあっていくドタバタ。途中まで面白かったけどいつからかちょっとごちゃごちゃしてるような。2020/09/09
なつー
15
作者あとがきにもあるように、運の悪い?殺人者と複数のワトスン部隊の物語。偶然が重なるのでトリックは浅いけど、所々に不思議な魅力がある! みんな簡単に口を滑らせるとか、現代ミステリーにはない面白さがあるんだよなー。 そして天藤作品は言い回しがツボ、今回だと『事実と誇張を四分六にカクテールして』がお気に入り。2015/02/10
みっつ
12
内縁関係にある女性の集団(IGグループ)が仲間の犯した愛人殺しを隠蔽しようと架空の犯人をでっち上げたら犯人像と瓜二つの人が近くに存在し…と設定だけでも面白い。更にIGグループの面々、架空の証言で疑われた男と友人達、被害者の婚約者と様々な人間が入り乱れて物語はゴロゴロと転がるのであった。ここら辺のユーモラスな展開が読んでいて大変に面白かった。終盤、場が煮詰まって真相が垣間見える頃にはテンション的にも落ち着いた感じ。ちょっと意外性という意味では弱いかも。妙ちくりんな設定は好みなので他作品にも期待。2010/09/27