内容説明
このミステリの犯人は天使です。しかし探偵役もまた天使が務めます。一方、このミステリは「犯人捜し」の物語であると同時に、死者と探偵が誰なのか判らず、しかも「天使の殺人」の作者さえ判らない、という作品なのです。どうしてそういうことになるのかは、直接本文をお読みください―実験推理のパイオニア・辻真先の代表作を、幻の戯曲版と合わせ“完全版”として文庫化。
著者等紹介
辻真先[ツジマサキ]
1932年名古屋市生まれ。名古屋大学卒業後、NHK入社。退社後はテレビアニメの脚本家として活躍。72年『仮題・中学殺人事件』を刊行し、82年『アリスの国の殺人』で日本推理作家協会賞受賞
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感想・レビュー
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たか
47
【再読】大劇団の主役・北風みね子役のオーディションに向け、三人の女優が南の孤島で合宿していたところ、北風みね子が死んだという報せが届く。果たして、三人のうちの誰が死んだのか。作中作と作中現実が不規則に交錯し、絶えず虚構と現実の往還がなされるため、単純な入れ子構造とはいえない異色のメタ・ミステリ。 犯人は誰か。被害者は誰か。探偵は誰なのか。作中作の作者は誰なのか。作者の若い頃の意欲作。D評価2020/08/10
chiru
35
『犯人も作者も誰だか分からない』という(劇中の)筋書きと、天使が天使長に指示され犯人を推理する、というニ重構造。3人の候補のなかで誰が犯人なのか謎解きするところは楽しい。でも、読みずらいところがあったのが残念だった。天使のキャラは可愛いです。★22017/12/18
ふう
18
たしかにこのアイディアは早い!というのが感想。ただはっきり言ってそれ以上でもそれ以下でもないw とにかく登場するアイテム、ギャグが古すぎたのがその一因かも。笑いに絡めないものならいいけど明らかに笑わせようとしてるから逆に全く冷めてしまう感じで(当時だったら違うんだろうけど)。同じ内容?の小説と戯曲の二本立てだったが、小説読んで色々整理できてからだったせいか芝居のがいい。客に当時くどいと言われたそうだが、劇中のどんでん返しもっとあってもいいくらい。2019/08/02
ハロー
5
複雑怪奇でした2017/09/22
相楽(twitter:sagara1)
3
どんでんどんでんどんでん返し。事件の謎を論理で解き明かすのでなく、全くもって事件とは縁の無い勝手な論理に合うように事件を作り直す。しかし、そんな不思議な構造そのものもまた……?作者はホント、凄いエンターテイナーだなー、と。米澤穂信を作った「100冊の物語」」関連その23。 2009/05/26
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- 双頭の船