内容説明
純真無垢なるものへの哀歌「地虫」を劈頭に、定番の傑作「赤い密室」や、余りにも有名な朗読犯人当てのテキスト「達也が嗤う」、フーダニットの逸品「誰の屍体か」など、多彩な着想と巧みな語りで魅する十一編を収録。本格ミステリ界の泰山北斗、鮎川哲也の尤なる精粋―当代切っての読み巧者が選ぶ、傑作集成第2巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
337
私個人の意見としては『地虫』『絵のない絵本』はいらなかった。『五つの時計』からの本格短編集としての美しい流れをぶった切っているように感じてしまう。せめて別のセレクトで収録してほしい。ただ、『絵のない絵本』は作品自体は好き。その非本格の二作を除けば、『赤い密室』~『誰の死体か』までの流れは鉄壁。『達也が嗤う』などは新本格先取り。そこから先の作品も、短編として楽しめる軽妙なノリがあって、心地よいものばかり。特に『死が二人を別つまで』は、短編らしい短編というか、締めくくりまで綺麗に纏まっているように感じた。2018/05/26
西
55
学生時代に父親の本棚から手に取って読んでから、自分にとって推理小説と言えば鮎川哲也。学生時代は新刊本がほとんどなく、古本屋で絶版本を探した時代が懐かしい。既読作品ばかりで、初出も一番新しいので1965年と古い作品集だが、自分にとっては色褪せない作品で、いまだに面白い。「達也が嗤う」「赤い密室」が傑作というのはわかっていたが、「誰の屍体か」のトリックと展開の妙にうならされた2017/10/28
本木英朗
32
巨匠・鮎川哲也の短編傑作集第2巻である。「地虫」から始まって、「赤い密室」「達也が嗤う」「誰の死体か」「他殺にしてくれ」など、多くの短編が出てくる。最後は「死が二人を別つまで」ってのもねえ。これは本当に鮎川先生にしか書けないよねえ、うん。とりあえずこれで、長編4編・短編集2編が終わったが、どれもこれも大満足!の一言だったよ。短編集は、1巻と同じく2巻の方も2002年に読んだっきりだったので、2020年にどちらも再読したのが、まただともいえるし。またいつか全部読みたいなあ。2020/08/30
yucchi
27
短編傑作選第二弾。以前から気になっていた『赤い密室』。なぜ犯人は密室にしたのか?という謎に対する解答がど直球が故にズドンと心に響く。「その理由なら密室にする必要あるよね!」と大いに納得した。『達也が嗤う』はトリックはうっすら予想がついたのだが、ラストまで読んで思わず「そうきたか〜!」と笑ってしまった。短編とは思えない濃度の高い作品ばかり。第一弾とともにぜひ読んで欲しい(^ω^)2014/08/17
ミーホ
26
50年前の作品というのにビックリ!!最初は古い言い回しが気になったけど、グイグイ読んでしまった。やっぱり骨格がきちんとした作品は色褪せないんだなー(˘ω˘)うん。西澤保彦『解体諸因』のあとがきに出てきた『赤い密室』が頭に残ってたら、読友さんのレビューで発見!!これはきっと読む運命だったのです。巻末の作品ノートや解説を読むとファンブック的要素?初読みなのに前からファンでした顔で読了。甲乙付け難いけど『達也が嗤う』のタイトルと、独逸白百合の妖精が印象的。『死が二人を別つまで』の展開もすごい。〈1〉も読む♪2014/05/19