出版社内容情報
若くして引退した美貌の奇術師であり、名探偵でもある曾我佳城。彼女が解決する、奇妙な事件の数々。射殺事件の容疑者が持つ、花火大会での鉄壁のアリバイ崩しに挑む「花火と銃声」。雪に囲まれた温泉宿で発生した、“足跡のない殺人”の謎を解く「ミダス王の奇跡」。佳城の夢であった奇術博物館〈佳城苑〉にて悲劇が起こる、最終話「魔術城落成」など11編を収録する。奇術師という顔も持っていた著者だからこそ描けた、〈曾我佳城〉シリーズ瞠目の完結巻。
内容説明
美貌の奇術師にして名探偵・曾我佳城が解決する事件の数々。花火大会の夜の射殺事件で容疑者の鉄壁のアリバイを崩していく「花火と銃声」。雪に囲まれた温泉宿で起きた、“足跡のない殺人”の謎を解く「ミダス王の奇跡」。佳城の夢を形にした奇術博物館で悲劇が起こる、最終話「魔術城落成」など11編を収録。奇術師の顔を持った著者だからこそ描けた、傑作シリーズをご覧あれ。
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933年東京生まれ。75年「DL2号機事件」が第1回幻影城新人賞佳作となりデビュー。78年『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞、82年『喜劇悲奇劇』で第9回角川小説賞、88年『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞、90年『蔭桔梗』で第103回直木賞を受賞。奇術界でも著名で、69年に石田天海賞を受賞。2009年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ALATA
32
作者が奇術師ということもあり、ミステリーをうまく融合させて舞台の裏側を見る感覚がいい。叙述トリックがさえわたる「ミダス王の奇跡」、パフュームのパフォーマンスを彷彿させる「虚像実像」が奇術トリックを駆使しいて思わず唸ってしまった。20年にわたる連載、最終章「魔術上落成」で大団円と思いきやまさかの展開が・・・泡坂さんの奇術、伏線回収お見事でした。★4※続編期待もかなわず、再読必須。映像化はベタですが、ぜひ仲間由紀恵で・・・2021/10/12
ぐうぐう
26
20年に及ぶシリーズのラストを飾る「魔術城落成」を読むと、泡坂妻夫がその当初からラストの構想があったことが理解できる。いかにもミステリらしい幕を閉じる本シリーズは、奇術の側面が前面に出ているものの、人間ドラマであったことに気付かされるのだ。探偵は犯罪のトリックを見破ることで、そこに犯人の人間性を浮かび上がらせる。探偵が犯人を人間にするのだ。そのことに自覚的な泡坂はラストにおいて、この方程式を究極に利用する。いやはや、それは見事な奇術であり、ミステリであり、そしてドラマであった。2025/02/21
タカギ
23
下巻も11編収録。解説は米澤穂信氏。泡坂妻夫自身だという青瀬勝馬の著作が出てくる、変わった話もある。カードマジックの秘密が書かれている。最終話では、佳城が建設を続けてきた奇術博物館が完成する。それにしても、もっといくらでも若いのから金持ちまでよりどりみどりだろうに、と思わずにいられない。2021/01/22
ぶんぶん
16
【図書館】曾我桂城もいよいよフィナーレです。 奇術の成り立ちとミステリー、そのあやが大変勉強になった。 でも、最後の2,3篇は奇術を盛り込み過ぎたのか、やや冗漫な感じ、 しかし、20年以上掛かって書き上げた超大作である事に間違いない。 もうちょっと曾我桂城に寄り添った話も良かったのでは・・・ 凄いな、一つの事に20年掛けられるのは、「魔術城落成」で見事にフィナーレを迎えるが、一抹の不満も、消息不明で会って欲しかった。 泡坂妻夫、偉大なる作家だった。2020/11/13
Inzaghico (Etsuko Oshita)
11
あっという間に引退した女性奇術師、曾我佳城を探偵にした連作もの。どれも小ぶりながらきらりと面白さが光る佳品揃い。女主人公の名前の「佳城」というのは「墓」という意味だそうで、最後にこれが重要な意味合いをもつ。 佳城の弟子の串目の成長ぶりにも目をみはる。佳城に憧れとほのかな恋心を抱きつつ、奇術師として一人前になっていく姿は、たくましい。最後の「魔術城落成」では、師匠を思うあまりの行動に驚き、泣けてくる。 ちょっと現実から離れたい、今のようなときにうってつけの読みものだった。2020/03/06
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