出版社内容情報
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
著・文・その他
内容説明
出所して間もない手許不如意のひだるさに、島津亮彦は身なりを繕って花見客さざめく多武の山公園へ。知人に出会い、誘われるまま鍋をつついたその翌日…愛すべき傑作「紳士の園」や、殺人現場に赴いた風変わりな捜査官が織り成す推理の妙「煙の殺意」など八編を収録。興趣の尽きないストーリーと騙される快感が堪えられない名作品集。
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933年5月9日東京生まれ。76年「DL2号機事件」が第1回幻影城新人賞佳作入選。78年「乱れからくり」で第31回日本推理作家協会賞、90年「蔭桔梗」で第103回直木賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
137
『米澤屋書店』で絶賛されてた短編集にトライ。8編のうち「閏の花嫁」や「歯と胴」は普遍的なイヤミス感が面白かったです。でも正直なとこ全体的に大ハマりとまではならんかったかなぁ。それぞれのアプローチは何気に好みなんですが…。ハマりきれない自分がちょいと歯がゆい(^o^;)2022/01/30
紅はこべ
129
「歯と胴」は当然『歯と爪』を意識した題だろうな。『アンナチュラル』も連想。『狐の面』は『トリック』。「おまえのやったことはまるっとお見通しだ」奇術師の泡坂さんお得意分野。表題作のアリバイ工作には愕然。ミステリと恋愛を絡めるのが巧み。2018/02/18
Tetchy
92
泡坂初期の短編にはチェスタトン張りのロジックが愉しめる。それは歪んだ論理とでも云おうか、読後に奇妙な味わいを残す。本作では「赤の追走」、「紳士の園」、「煙の殺意」、「開橋式次第」がそれに当たる。かし本作は先ほど「奇妙な味わい」と述べたようにエリンの『特別料理』を意識したに違いないと思われる作品がある。『閏の花嫁』はもうほとんどオマージュであろうし、『歯と胴』は一種のホラーとも云える(題名からすればバリンジャーか)。この完成度は素晴らしい。2009/05/23
stobe1904
71
【本格名手の短編集】独立した8つの短編から構成されている。総じてレベルが高いが、個人的には『紳士の園』がお気に入りで、きれいに騙された感じがした。本格名手の短編を堪能できてとても満足。★★★★☆2018/10/11
papako
71
だんじろーさんにおすすめしてもらって。いやー、なんか好きだわ、泡坂作品。もう40年以上前の作品なのに、まったく色あせてない。好みは『歯と胴』『開橋式次第』『椛山訪雪図』『狐の面』『赤の追想』って、ほとんどでした。どれもひねりと洒落の効いた味わい深いものでした。やはり、あまり古臭くなく、読みやすい。だんじろーさん、ありがとうございました!2017/07/12