内容説明
毎日のように届く脅迫状に悩まされる川手庄太郎。身に憶えはないが捨て置くこともならず、民間探偵に調査を依頼する。生憎明智小五郎は朝鮮半島に出張中、新進宗像博士にお鉢が廻った。明智に引けを取らない実績の持ち主も二度三度と出し抜かれて川手の娘たちは敢えなく初花の命を散らし、庄太郎も行方不明に。意地にも犯人摘発をと奔走する博士の許に、小函に入った指が…。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
本名平井太郎。明治27年10月21日、三重県名張市に生まれる。大正5年、早稲田大学経済学科を卒業。職を転々としながら11年に「二銭銅貨」を執筆。以降、「パノラマ島奇談」「孤島の鬼」など数々の傑作を発表。昭和40年7月28日没
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感想・レビュー
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Kircheis
137
★★☆☆☆ 明智シリーズだが、明智探偵は終盤にちょろっとだけ出てきてさっさと事件を解決してしまうだけの役割。 乱歩作品の愛読者であれば序盤で犯人の予想が付いてしまうだろう。またエログロ描写は乱歩にしてはかなり控えめで、そのためミステリとしてもスリラー小説としても特筆する点があまり無くなってしまった。 ラストもあまりスカッとしないので、お薦めの作品とは言えない。2020/04/06
セウテス
95
〔再読〕川手氏の元に、脅迫状が届く。明智小五郎に助けを求めるが海外に出張しており、代わって法医学の宗像教授が担当する事になる。脅迫者は、過去に両親を殺された恨みを晴らす為に、川手氏の一族を全て殺害すると言ってきたのだ。明智小五郎の留守を守るべく宗像教授は奮闘するが、再三に渡り脅迫者に裏をかかれてしまう。実は江戸川乱歩作品を良く読まれている読者には、本作が「蜘蛛男」の焼き直しと言うべき作品である事が、解ってしまうと思う。よって、必然的に犯人も解って仕舞う事になるだろう。見所は、ラストの明智の掛け合い問答だ。2018/10/15
犬こ
26
悪魔の紋章は、かつて小林少年探偵団の方で読んだと思うのだけれども、全然覚えてなかったです。本作は、あの乱歩節は少し薄かったかな。他感想にあるとおり、犯人が途中で分かってしまったのは、みんな一緒か(苦笑)乱歩だから、よしとします。2016/06/05
旗本多忙
24
人を殺すってのはどのような理由があろうと許されるものではない。しかし当事者とすれば腸の煮えたぎる思いで不倶戴天の敵を討ちたい。遠い過去に父母を殺され、犯人はその一族を根絶やしにするまで執拗に追い詰める。ストーリーの内容、いや犯罪の手口は、この作品以外にも度々出てくる。勿論変装とか密室から人が居なくなったりとかだが、しかし乱歩読者は序盤から、ふふん成る程とわかるであろう。しかし、われわれは明智の決定的推理が聞きたいのである。完全無欠とは明智の推理かな(笑)面白い!2017/08/31
coco夏ko10角
22
内容紹介で「もしや…」となり読み始めて「やはり…」とまたこのパターン。自註自解で乱歩も書いてるからやっぱり好きなんだな。犯人がわかってても面白いのはさすが乱歩。作品雰囲気を楽しみたいのが一番だからいいんだ。2017/11/03
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