創元推理文庫<br> 横丁の名探偵―犯人当て小説傑作選

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創元推理文庫
横丁の名探偵―犯人当て小説傑作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488400682
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

出版社内容情報

名手7名が仕掛けた巧妙な罠に、
貴方も必ず騙される

豪華執筆陣による挑戦状。
珠玉のアンソロジー第2弾!

ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選し、全3巻のアンソロジーに集成した。第2巻には長屋のご隠居が掛軸泥棒を見抜く仁木悦子「横丁の名探偵」、恩人の息子捜しが殺人事件に発展する巽昌章「埋もれた悪意」、犯人当て短篇を作中に織り込んだ今邑彩「時鐘(とけい)館の殺人」など全7篇を収録。序文=福井健太

■収録作品
仁木悦子「横丁の名探偵」
石沢英太郎「アリバイ不成立」
巽昌章「埋もれた悪意」
泡坂妻夫「ダイヤル7」
岡嶋二人「聖バレンタインデーの殺人」
中西智明「ひとりじゃ死ねない」
今邑彩「時鐘(とけい)館の殺人」


【目次】

内容説明

ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選し、全3巻のアンソロジーに集成した。第2巻には長屋のご隠居が掛軸泥棒を見抜く仁木悦子「横丁の名探偵」、恩人の息子捜しが殺人事件に発展する巽昌章「埋もれた悪意」、犯人当て短篇を作中に挟んだ今邑彩「時鐘館の殺人」など全7篇を収録する。

著者等紹介

仁木悦子[ニキエツコ]
1928年東京府(現在の東京都)生まれ。四歳の時に胸椎カリエスを発症し、幼少期からベッドと車椅子での生活を送る。宮沢賢治の作品を愛読して童話を書くようになり、54年に「白い雲・黒い雲」で『こどもクラブ』の懸賞に入選。本名の大井三重子名義で児童文学を手掛ける傍ら、姉の影響で海外ミステリに接し、河出書房の〈探偵小説名作全集〉の公募に『猫は知っていた』を投稿。同作は第一席に入選するも版元の事情で出版されず、江戸川乱歩の計らいで第三回江戸川乱歩賞の候補になり、57年年に同賞に選ばれた。仁木雄太郎と悦子の兄妹が活躍する同作はベストセラーを記録し、58年に大映で映画化されている(監督=島耕二、主演=仁木多鶴子)。仁木は乱歩の選評をもとに「日本のクリスティー」と称されたが、明るい筆致の〈仁木兄妹〉シリーズだけではなく、私立探偵・三影潤を主役とするハードボイルドにも秀作が多い。81年に「赤い猫」で第三十四回日本推理作家協会賞を受賞。86年逝去

石沢英太郎[イシザワエイタロウ]
1916年内地生まれ、中華民国大連市育ち。大連商業学校を卒業後、満鉄(南満州鉄道)の子会社である満州電業に入社。48年に日本へ引き揚げ、京都と東京を経て福岡に居を構え、九州経済調査協会に勤務。63年に「つるばあ」が第十六回宝石短篇賞の佳作に選ばれ、66年に「羊歯行」で第一回双葉推理賞に輝いた。69年に専業作家に転じ、翌年に歴史ミステリ集『謀鬼 私説黒田騒動』(文庫化時に『謀鬼』と改題)で単行本デビュー。77年に「視線」で第三十回日本推理作家協会賞を受賞。人情派の熟年刑事・牟田一郎の仕事を描く〈牟田刑事官〉シリーズは、83年から2007年にかけて三十三本のテレビドラマ版が作られた(主演=小林桂樹)。晩年は脳梗塞の後遺症で入退院を繰り返し、1988年に逝去。息子にSF作家の野阿梓がいる

巽昌章[タツミマサアキ]
1957年三重県生まれ。京都大学法学部卒。ミステリの評論や創作を手掛け、2007年に『論理の蜘蛛の巣の中で』で第六十回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と第七回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を受賞

泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933年東京府(現在の東京都)生まれ。都立九段高校定時制卒。家業の紋章上絵師を継ぎながらも、邪宗門奇術クラブで多くの創作奇術を案出し、69年に第二回石田天海賞を受賞。76年に第一回幻影城新人賞佳作「DL2号機事件」でデビュー。同年に初長篇『11枚のとらんぷ』を発表し、78年に『乱れからくり』で第三十一回日本推理作家協会賞、82年に『喜劇悲奇劇』で第九回角川小説賞、88年に『折鶴』で第十六回泉鏡花文学賞、90年に『蔭桔梗』で第一〇三回直木賞を受賞。圧倒的な発想力と遊び心を持ち、ミステリ史に大きな足跡を残した稀代のエンターテイナーである。2009年逝去

中西智明[ナカニシトモアキ]
1967年福井県生まれ。同志社大学在学中、趣味のカードマジックがきっかけで綾辻行人と知り合い、京都大学推理小説研究会に入会。90年に『消失!』でデビュー。奇抜なトリックは賛否両論を呼んだが、真相と構成が有機的に結びつき、謎解きの核心が別にあったことは再認識されるべきだろう

今邑彩[イマムラアヤ]
1955年長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。88年から翌年にかけて『小説時代』のショートショートコンテストに「お見合い」「あるボランティア活動」「Yの悲劇」(いずれも今井恵子名義)が採用され、89年に〈鮎川哲也と十三の謎〉の公募企画“十三番目の椅子”の最優秀作品『卍の殺人』でデビュー。2013年逝去

岡嶋二人[オカジマフタリ]
井上泉と徳山諄一の合作ペンネーム。井上泉は1950年福岡県生まれ。徳山諄一は1943年東京都生まれ。徳山の提案で小説の合作を始め、映画『おかしなニ人』をもじって岡嶋二人の筆名を付けた。81年に『あした天気にしておくれ』が第二十七回江戸川乱歩賞の最終候補に残り、翌年に『焦茶色のパステル』で第二十八回の同賞を受けてデビュー。89年にコンビを解消した後、井上は井上夢人名義で小説を書き、徳山は田奈純一名義でテレビ番組のトリックメーカなどを担当した。徳山は2012年に逝去している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Inzaghico (Etsuko Oshita)

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巽昌幸の「埋もれた悪意」は、あとから言われれば、たしかにそうだよなあ、と己の迂闊さを恥じはするが、「それって揚げ足とじゃね?」と、ついつい言い返したくもなる。そうなるくらい、きれいにやられました。京大推理研究会の犯人当て朗読会のテキストとして書かれたものだが、兄弟推理研究会史上一、二を争う初期の傑作と有栖川有栖が太鼓判を押している。 今邑彩の「時鐘館の殺人」は、解答を読者からの反論で、また別の解答でひっくり返すという荒業をやってのけた。ユーモアもあって面白かった。2025/12/07

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