感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゆ
76
『乱歩えほん・押絵と旅する男』を借りた時に、原作と読み比べるため『押絵』が収録されている全集も一緒に借りました。短編を中心に全12話。実は乱歩は小学校の図書館で読んだきりで大人向けは未読。せっかくなので有名どころの『二銭銅貨』『人間椅子』『パノラマ島奇談』『陰獣』『芋虫』をつまみ食い。いやぁ『二銭銅貨』はともかく、あとはエログロ・変態のオンパレード。もうお腹いっぱいです(^-^;2023/06/12
佐倉
16
二銭銅貨から化人幻戯まで、収録数が非常に多くデビューから戦後までの流れを知ることが出来るということで江戸川乱歩ライト勢には大変助かる一冊。『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『パノラマ島奇談』などは有名だが初読。代表作なだけあって独島の迫力があった。どの作品にも変身や人工的に作られた世界(テーマパーク的なもの)への暗い憧れが感じ取れる。初読で一番好きになったのは『陰獣』。それまでの作品の総決算であり、自己言及的なメタフィクションでもあり、現実のすぐ隣にあるフェイクドキュメンタリーでもあるような脂が乗った一作。2024/12/18
usanosuke
11
処女作「二銭銅貨」から晩年の「化人幻戯」まで12編を収録。「二銭銅貨」は巧妙なトリックだけでなく、最後はすっかり読者も出し抜かれる。「鏡地獄」は、球体の鏡のなかで発狂した男の話。夢と現実が時空を超えて交錯する「押絵と旅する男」と、模倣の恐ろしさを語る「目羅博士」は、いずれも蜃気楼や月光が幻想的な世界へ誘う。成りすましに妄想と猟奇が織りなす「パノラマ島奇談」、椅子に潜り込んだ椅子職人の猟奇的妄想を描いた「人間椅子」、うやむやな真相に多少後味の悪さが残る「陰獣」はいずれも乱歩の代表作だが、乱歩(続く)→2023/01/21
不見木 叫
11
『パノラマ島奇談』・『陰獣』・『化人幻戯』が私的ベストです。2019/11/22
かえるくん
9
見た目は妖しいけれど、どれも絶品の豪華珍品フルコース。新潮文庫の『江戸川乱歩傑作選』と重複が多いが、代表作である『陰獣』『パノラマ島奇談』や、京極夏彦『魍魎の匣』に影響を与えた『押絵と旅する男』の収録されているこちらの方が、よりディープな乱歩ワールドを堪能できる。どの作品にも大なり小なりミステリ的な仕掛けが施されているが、それよりも犯罪者と倒錯者の異常心理の描写が圧巻。嫌悪をおぼえつつもいつしか引き込まれてしまい、読み終わるとすぐに次の作品を欲してしまう麻薬のような魅力をもった一冊2013/02/11