内容説明
姪の結婚披露宴に、少年時代の親友が闖入してきた。落魄した友は、三十四年前の秋、殺人罪で絞首刑になった父親の無実を訴え、翌朝首を吊って自殺をする。罪悪感に突き動かされたわたしは、疎遠にしていた人々を訪ねる過去への旅に出たが…。錯綜する物語は、失われたものへの愛惜と激しい悔恨を湛え、万華鏡さながらに変転してゆく。余韻深い結末が待ち受ける、円熟の逸品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
80
天性のストーリーテラーと言われるゴダートの本を初めて読んだ本。とにかく面白かったというのが実感。突然幸せな日々に闖入してきた少年時代の親友とその自殺。そこから喚起された忘れかけていた過去。過去への旅とそこからやがて浮かび上がってくる真実、というプロットはトマス・H・クックなどの本と似ているが決定的な違いは、「錯綜する過去の物語りを読者に飽きさせることなく、解き明かしていく」という 筆力だろうか。 単なる謎解きではなく、主人公の 失われたものが哀しい。2010/06/06
アラム
8
前半で脱落しかねないが、後半からはなかなか味わい深い。というか前半の記憶がない...。過去の事件を解きほぐすうちにチラつく謎の女、家族の陰惨さ、ちょっと意外な結末。ミステリーではなく、ストーリーで読ませる小説だろうか。2020/01/24
白玉あずき
8
「リオノーラ」が素晴らしかったのでゴダードをぽつぽつ買い揃え、その後すっかり忘れておりました。細かな描写、複雑なプロットで最初は馴染みにくかったのですが、徐々に面白くなりました。遠い過去の秘密が現実に追いついてくる、その構成が多分ゴダードのお好みなのでしょう。哀切の情がしみじみ切なく、二転三転する状況が最後まで読者を引っ張ります。全き善人は登場せず、感情移入できるキャラクターもいないにもかかわらず、なかなか面白うございました。不幸な被害者が生きているうちに、正義がなされなかったという現実が後を引いて残念。2014/01/03
向う岸
6
☆3 読み進めるにつれ話は二転三転し、謎の女に翻弄されたり遺産をめぐってのコンゲームが繰り広げられたり、次々と一族の闇が明かされたりと驚かされる。莫大な遺産を残して殺された大叔父の死の真相や如何に。一族の骨肉の争いは横溝正史っぽい。2016/06/10
tsukamg
4
かつてはまっていたゴダード作品。8年ぶりに再読。大叔父が銀貨を投げ「特等席で見るといい。けちけちするな」と甥に言う場面は、強烈に覚えている。ゴダードといえば、意志の弱い主人公のダメ男君が、騙されながらも頑張る話が多い。その騙されっぷりを楽しめるかどうかが、ゴダードを好きになれるかどうかの分かれ道だと思う。2013/06/30




