内容説明
チャーチルやロイド・ジョージとともに若くして大臣に抜擢された新進政治家ストラフォードは、喜びも束の間理由もなく婚約者に去られ、閣僚の座を追われた。歴史の闇に立ちすくむ彼を思い、元教師のマーチンは、いにしえの謎に踏み入るが…?一編の回顧録を手がかりに、埋もれていた絶望が、悪意が、偽りが焙り出されていく。物語は、運命の転変が鮮やかに立ちあがる終幕へ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
19
高潔な人と卑劣な人、その極端な描き分けはどうかと思うが、これがなんと処女作ですよ!登場人物それぞれの思惑で二転三転するも、破綻なく最後まできっちり持っていきました。ああ面白かった。語り手が最後にこんなひどい目にあうなんて、これは予想を超えていましたが、まあ生活の保障ができたからいいか。少しは救われたかな。これでゴダードの人気3作品を読了、大体のパターン、お好みが見えて来たので、当分はお腹いっぱい。最後に一つだけ。イヴの存在だけは理解不能でありえないと思う。 2016/05/08
sabosashi
16
イギリスの二十世紀政治史が取り沙汰されるが作者のイマジネーションは留まるところを知らない。政治史というより政権史か。しばしば引き合いに出してしまっているがドリス・レッシングの『黄金のノート』の対極をいくもののようにみえる。政権史なんていう醜いことばを用いてしまったが、もちろんその下には人間ドラマが渦巻いている。これも使い古された常套句ではあるが。ボーア戦争やらインドやらにも関わってくるのは、それこそレッシングと向き合っているといえる。2023/06/06
アプネア
15
新進気鋭の政治家の身に降りかかった不可解な拒絶。これが人生の悲劇となり、謎となり物語を牽引する。過去になされたこと、なされ得なかったことへの悔恨が覆い。語るべきことが語り尽くされたとき。一体何が発現するのか・・・。う〜ん夢中にさせる部分もあったが、思い出補正がかかっていたのかも。少し冗長に思うところもあったな。2023/02/15
おすぎ
10
【上司からの頂き本】久々の翻訳本に上巻前半は苦労しましたが、慣れてからは展開のスピード、内容の濃密さともに一切の無駄がなく、ストーリーに没頭、ミステリーとしての完成度は非常に高く、一級品だと思います。ただ海外文学はどうしても作中キャクターの名前が被ってしまう…2016/02/14
アヤネ
7
元歴史教師のマーチンは悪友の誘いでポルトガル領マデイラへ。そこで、実業家セリックから、謎めいた失脚を遂げた半世紀以上前のある青年政治家の手記を読まされ、探索を依頼される。。。上巻最初っから物語に引き込まれた。伏線に次ぐ伏線で、下巻は謎解明目指しイッキ読み。過去の探索、現在、館、歴史、恋愛などなど、大好物な材料いっぱいの本でした。満足~2014/05/25
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