内容説明
捜査中の事故でモンクがすべての記憶を失ってから四カ月がたった。だが、いまだ記憶は戻らない。そんなある日、彼は、高名な貴族の娘が強盗に殺されたという、政治的にきわめて厄介な事件の担当を命じられる。だが、本当の苦境は、犯人は強盗などではなく、家族の誰かだと判明したときに始まったのだ!十九世紀半ばのロンドンに生きる人々を活写する、傑作時代ミステリ第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本の蟲
14
ヴィクトリア朝倫敦が舞台の時代ミステリシリーズ2作目。貴族令嬢が自室で殺害された事件。強盗の仕業かと捜査を進めるモンク警部だが、判明した事実は内部からの犯行を示していた。容疑者は邸宅内に住む家族親類と使用人たち…。上流階級は犯罪と無縁。とっとと使用人を捕まえろと叫ぶ上司や被害者の父。使用人は顔のない道具であり、家具であり、完璧に無視される。メイドに起こった悲劇は自業自得でふしだらだった報い。貴族令嬢なら許しがたい蛮行。ただしもし事実なら女の方に問題があったはず。相変わらず当時の偏見常識が読んでいて興味深い2024/07/14
nirokuya
10
記憶喪失のモンク警部シリーズ第二弾。真夜中、自室で刺殺体として見つかった未亡人。一見強盗の仕業のようにも見えたが、調査を進めるほどに屋敷内の人間が犯人という疑惑が深まっていく。屋敷内の上下それぞれの人間模様が面白い!事情聴取が回を重ねる毎に「実は…」と新たな事実や真偽の定かでない噂話が持ち上がって困惑させられるが、そこがまた面白くて!後半は一気読みでしたよ。2013/05/31
颯奏
3
途中まで読んで積んでいたのを読破。上流階級の家庭の貴族と使用人、殊、女性の立場的なことが興味深かった。第一巻が古本しかなくて残念。キンドルがあるじゃないっていわれればそうだけれど紙の本で読みたいなぁ。2015/11/07
エリコ
3
モンク警部シリーズもっと読みたいです。邦訳して欲しいなぁ。2013/10/13
みさ
2
この話、予定調和が起きないんですけど大丈夫なんですか…?と心配になりながら読んだ本作。時代描写の解像度が変わらず素晴らしいなあと感心する。貴族と使用人の間の尊敬や見下し、階級差というものが、事件においても捜査においてもこれでもかと浮かび上がる。貴族階級がどのように使用人を捉えているかに唸りつつも、時にはやり返す使用人の姿もたくましい。この時代だからこそ起きる事件と犯人探しが堪能できる。途中から、これ本当にどうなるんだと止まらなくなりました。2022/07/05