内容説明
生彩に富む筆致が興趣をかきたてる贋作ホームズ物の第三短編集!古代遺跡に怪異な物語が展開する「アドルトンの悲劇」、ヨーロッパを股にかけた知能犯との対決「モウペルトイスの醜聞」、そして集中の白眉「スミス‐モーティマーの相続」では、ホームズが推理の才を遺憾なく発揮して、真犯人の奸計を砕く。七つの探偵譚に、二人目のワトスン夫人の正体を探る好エッセイを付した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
48
一人シャーロック・ホームズ祭り第17弾。ジューントムスンによるパスティーシュ。短編集第三作。再読。後代に書かれていながら、当時の趣を見事に再現している。そしてそれだけではなく、ホームズとワトスンとの軽妙なやり取りも聖典かと見紛うほどの完成度の高さ。★★★★☆2016/04/23
本木英朗
23
世界一の名探偵ことシャーロック・ホームズの短編集のひとつである。……と言ってもコナン・ドイルではなくて、ジェーン・トムスンだけれど、それはまあ置いといて。これもやはり20回近く読んでいるのだが、今回も本当に超凄かったよね、うん。中でも俺的には、「ウォーバトン大佐の狂気」と「フリースランド号事件」の2編が超よかったです、ハイ。……ではでは、また4作目でお会いしましょう。2023/06/12
鐵太郎
21
「モウペルトイスの醜聞」事件にちょっと注目。史実ではジェイムズ・バランタイン・ハネイという人物がダイヤモンドを合成したと宣言したのが1880年で、これが人工ではなく天然のダイヤモンドであることが確認できたのは1900年代半ば以降ですから、この時代にこんな詐欺があっても不思議ではないようです。でも、ダイヤに目印をつけるという話は納得いきませんね。カットのしかたでわかる、と言った方が信憑性があったのにね。附録の、ワトスン博士の二人目の妻の話がけっこう面白かった。2010/01/23
keiniku
14
ジューン・トムスンのパスティーシュ三作目。やはり純粋な推理物は現代では無理なだけにこの時代設定の推理小説は良い。 推理には結構な強引さがあって、「こんな推理で大丈夫??」と思いつつも、19世紀のロンドンを楽しめる。馬車、汽車、石畳、電報… 巻末付録のワトスンの再婚相手についての仮説はシャーロッキアンじゃないから楽しめない… さて、四作目も買ってしまおう。2016/04/23
有沢翔治@文芸同人誌配布中
9
シャーロック・ホームズの物語には〈語られざる物語〉、つまり事件の特徴や依頼人の名前だけが記されているものがある。例えば「あやしい自転車乗り」には「ジョン・ヴィンセント・ハードンが不思議な脅迫を受けた」と書かれているが、コナン・ドイルは書いていない。ワトソン博士の未発表原稿が発見されたという話のもと、七つの〈語られざる事件〉を収録する。 http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51516132.html2020/11/29