内容説明
今なお読者を魅了してやまない名探偵シャーロック・ホームズ。彼こそ名探偵の代名詞でありミステリ史上最大のヒーローである。本書は気鋭の英国女流がこの不世出の天才を甦らせたファン必読の傑作集。傘をとりに戻ったきり一切の消息を絶った給仕の秘密から、厳重な監視下ドイツに国家機密を流さんとする天才科学者の奇策まで、胸躍る七つの冒険を収めた贋作ホームズの決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
80
【再読】ホームズ作品のパスティーシュでありながら、正典を読んでいるかの様に感じる7つの短編集。特徴として「語られざる事件」として伝えれている話を、実際に語っているのである。当時女性が書いているという事も驚かされたのだが、全く違和感を感じさせない凄さがある。むしろ、私には正典のキャラより、親しみやすく読みやすかった様に思う。パスティーシュである以上、同じテーマで作者の違う作品が幾つか在るのだろうが、読み比べてみたくなった。何気に、モーリス・ルブランをいじっている事に、フッと笑いも出る程大満足の読書だった。2022/01/12
本木英朗
28
世界一の名探偵こと、シャーロック・ホームズの長編のひとつである。……と言ってもコナン・ドイルではなくて、ジェーン・トムスンだけれど、それはまあ置いといて。もう20回以上読んでいるけれど、最高だぜ! 傘をとりに戻ったきり一切の消息を絶った給仕長の秘密から、厳重な監視下ドイツに国家機密を流さんとする天才科学者まで7編の短編を収録。どれもこれも凄かったけれど、中でも俺的には「アマチュア乞食」と「高貴な依頼人」が最高によかったです。さすがはホームズ&作者かな。もちろんワトスンもだけれどね! 大満足でした。2022/10/20
ホームズ
25
「ジェームズ・フィリモア氏の失踪」や「カナリヤ師ウィルソン」など有名な語られなかった物語を題材にしてくれるのが嬉しいな(笑)雰囲気も原作に近くって好きなシリーズです(笑) 2012/11/17
鐵太郎
19
有名なパスティーシュ短編集、第一作です。──ホームズの物語というのは、基本的には短編の冴えなのですよね、考えてみると。ホームズ・パスティーシュというものは、たいてい長編に話をふくらませます。それはそれでじっくり読めますが、ドイルの筆を踏襲・再現したいのなら、短いセリフ回しで情景を描写して場面転換し、過不足ない引き締まった言葉でオチをつけるという短編こそが、本来のあるべき姿なのかも知れません。この短編集は、それを上手く再現しています。お見事。2010/01/02
viola
16
はい、もう、文句なしに面白かったです。ホームズのパスティーシュは既に2作読み、そのそちらもかなり素晴らしい出来でしたが、これはそれを更に上回りました。読書に没頭し、ふっ我に返った瞬間「そうだ、これはパスティーシュ・・・」と思い出したことが何度か。著者のパスティーシュは読んでいくことにします。7つの短編は全て、聖典のワトソンが名前を挙げただけで発表しなかった事件。これって珍しいらしいです。ホームズとフロイトが出会うパスティーシュもあるらしいし、ドイルの息子が書いたのもあるらしく、それも読んでみよう。2012/07/17