内容説明
5月。くつろいでいたウェルズのもとに、情報提供を申し出る一本の電話が入った。出向いた彼を待っていたのは、悪徳警官として知られるワッツ警部補が、以前組織の制裁殺人に手を貸したことがある、という情報。ウェルズは勇んで取材を開始したが、その矢先、謎の暴漢に襲われ、逆に相手を殺す仕儀となってしまう。正義を求めてさまよう敏腕記者の苦悩。サスペンス溢れる第4弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
49
新聞記者ジョン・ウェルズが主役のハードボイルドシリーズ完結編。15年前の殺人事件に宿敵の殺人課警部補が関わっていることを知ったウェルズ。捜査に着手しようとした途端何者かに命を狙われ、逆に相手を殺してしまいます。図らずも殺人を犯してしまったことに苦悩するウェルズが、警察に追われながら真相究明に至るまでが描かれます。ウェルズを慕うランシングのチャーミングさがより際立つ本作品。じれったい二人に漸く…。ラストの真相究明シーンは、ハラハラの頂点。シリーズの完結としては、名残り惜しさがあるくらいが丁度良いのかも。2019/09/14
白玉あずき
43
シリーズ最終4巻目。ありえないハードな逃亡劇やランシングとの展開に、著者も最初からウェルズのシリーズを閉める気まんまんだったと見た。それにしても!ウェルズよ、やせ我慢のハードボイルド魂はどうした?少々がっかりしたなぁ(ランシングがらみ)と思いながら、茶木氏の解説を読んで爆笑。なーんだ主人公はウェルズではなくランシングだったのかwww 皆さま、この解説を読むだけでもシリーズ完読の価値がありますぜ。エマ・ウォルシュのカッコ良さや悪役の正義論が重かったり、女性陣がやたらキャラ立ちして良いよね。2021/03/04
bookkeeper
32
★★★★★ 再読。仇敵の汚職刑事ワッツを追い詰めるネタを掴んで有頂天のウェルズだったが、見知らぬ男に襲撃され、逆に死なせてしまう。おまけにワッツが担当刑事となり、彼は一転追い詰められる立場になるのだった…。 人を殺めてしまった罪悪感と、着実に狭められる包囲網とがシリーズ最大の緊迫感を生んでいます。ハードボイルドシリーズ屈指のヒロイン、ランサーとの決着も!今も何処かで生きのいい取材をしていそうな登場人物達が魅力的です。「カメラを取り上げることはできても、一面を押さえることはできないわ。一面は私のものよ」2019/05/25
しゃお
32
〈ジョン・ウェルズ〉シリーズ4作目にして最終作。なんとウェルズが正当防衛とはいえ人を殺してしまう。そもそもなぜウェルズが見知らぬ男から襲撃を受けたのかといった謎がある中、宿敵ワッツの働きによって追い込まれていく様子もあって、シリーズの中でももっともサスペンスフルに描かれています。犯した罪は償わなければならないとウェルズ自身も自身を追い込んでいく姿は、タフなだけでなく弱さを持つ等身大の人間として描かれているのも特徴でしょうか。そんなウェルズだからこそランシングも惚れるのね~。巻末の解説がまた傑作です(笑)。2019/04/26
tom
10
どなたかがコメントをしていたので借りてきた。ところが、どこで間違ったのかシリーズの4冊目だった。こういう本は順番に読まなきゃと思いながら、しかたなく読み始めた。けっこうなテンポの良さ。古きよき時代のハードボイルドという趣です。それなりに面白いのだけど、でも、とりわけ面白かったのは解説。なんとも奇妙奇天烈で、違う本の解説をしているのかと悩みながら、読んでしまった。こういう解説というのは、なかなか珍妙で面白い。2012/01/25
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