内容説明
ミス・マープルの甥っ子、レスター警部は、季節外れの休暇をとって、南フランスにある山間の田舎町にやってきた。ところが到着早々、買いたてのフェラーリが、盗まれたうえ運転席に死体をのせて崖下で大破しているのが発見される。状況に不審を抱いたレスターは、同じホテルに泊りあわせた伯母を髣髴させるイギリス婦人とひそかに捜査を開始するが、追うほどに事件の根は深く、悲痛なものであることが明らかになっていった!ゴンクール賞作家がグロテスクにしてアラベスクな怪事件の顛末を軽妙かつ重厚に綴るちょっとブラックな傑作ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
16
フランスの純文学小説家、パスカル・レネは、ミステリも4作書いているはずだ。『三回殺して、さようなら』は、2作目の作品で、日本では多分これだけ訳されている。俺は2001年にこれを買って読んだ後、2007年にもう一回読んだ。というわけで今回が3回目となるのだが、いいね、いいね。ミス・マープルの甥っ子、レスター警部は季節外れのヴァカンスにやってきた。そこで会ったマープル伯母さんそこのけの英国婦人と、ある秘密を暴いていく……という話です。これはもう読むしかないって。さすがレネだなあ。2019/08/01
madhatter
0
再読。これは何なんだろうか…再読にしてよくわからない。純文学から推理小説への批判なのだろうか。それにしてはシリーズ化しているようだ(本作が本邦初訳というのは、販売戦略上大きなミスだったと思う)し、何を批判したいのかも不明だが。とにかくあの結末は、推理小説的な在り方を悉く否定し去っているように思えた。それが目的で、推理小説のビッグネーム・クリスティのキャラクターを利用し、ミス・マープルの甥や「あの」ジェーンを探偵役に据えたのか。いずれにせよ、普通の推理小説として読むと、肩透かしを喰らう。2011/07/21