内容説明
アイガー北壁で氷漬けのナチ軍人の死体が発見された。謎の遺体に関心を抱いたBBC局員が意外な事実を探り出す。第2次大戦末期、原子爆弾の開発をめぐってナチ・ドイツが精鋭クライマーを集めて打った奇策。追いつめられた彼らが魔の北壁で繰り広げた壮絶な死闘。J.ヒギンズをして「比類なき傑作」と言わしめた、超一級の山岳冒険小説登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
智哉
4
圧倒的な山の前では、戦争はおろか、時間さえも意味をなさない。そこにあるのは生か死か。生への渇望はすべての邪念を霧散させる。伝説のクライマーも原子物理学者も、狂気の時代の犠牲者ということか。壮絶な登攀シーンの興奮は、しばらく冷めそうにない。2017/07/23
nemuo
2
再読。登山ものの傑作。厳しい山への挑戦を描いた作品は多いが、この作品は単なる苦労話ではない。戦時下という時代背景、一般人を連れた過酷な状況、過去の自分との戦いなど様々な要素が上手くバランスを取れている。山のことを知らない人も知らず知らずにそびえ立つアイガーの壁が目に浮かんでくるはず。エピローグの部分はそうであってほしい、という読者の思いにも応えてくれているようで思わず微笑んでしまう。2020/03/20
にやり2世
0
無理に考えなくても山のシーンがすっと浮かぶ。シュペングラーの見てる景色が目の前にある感覚だった。エピローグ前のくだりは任務のことがすっ飛んでて最高。エピローグも最高。2021/07/31