内容説明
ヘレンは恐ろしくなって、台から電話を払い落とした。友人だというその女の声は、はじめ静かで、ほほえんでいた。だが、話すほどに悪意を剥き出しにし、最後にはこちらの死をほのめかす、予言めいた台詞を吐いたのだった。不安を断ち切れないヘレンは、亡父のもと相談役に助言を求めるが…。鬼才の名声を確立した名作、遂に登場。MWA最優秀長編賞に輝く衝撃のサスペンス。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
273
★★☆☆☆ 大きな賞を取った作品らしいが、正直微妙だった。 ミラーの文章がうまいのでそこそこ読めるのだが、オチはごく平凡なもので驚きはなかったし、ブラックシアがヘレンに急に肩入れしだしたのも不可解で、共感できるキャラは1人もいなかった。 あと、タイトルの『狙った獣』もパッとしない。確かに本文では『狩人が獣を狙っている』という表現もあったが、原題はどちらかというと『獣が視界にいる』というようなニュアンスだと思うので。2022/07/07
ペグ
73
以前読んでとても良かったのでもう一度読みたいと思いながら手にする事が出来なかったこの本。初版から待つ事20年余。創元社さんありがとうございました。筋立てがきちっとしていて矛盾がないのですが、ある人物のみ巻き込まれ状態なので注意深く読まないとややこしい。小説は出だしで読者を惹きつけ最後に腹の底にストンと落ちるというのが私にとっては重要なポイントですが、特に最後の場面の美しさは忘れがたい印象を残します。サスペンスの傑作だと思います。2017/08/20
hit4papa
72
資産家の遺産相続人である女性を悩ませる意味不明な電話。彼女からの依頼を受けた投資コンサルタントが探索を進めるうちに、錯綜した人間関係と連続する不可解な死に直面していく、というミステリ。不審な電話の相手は、疎遠となった旧知の女性だったのですが、実は弟の元妻で、と地味な何故?何故?が、続きます。本筋の枝葉の部分で、ちらりと登場する人々の心のあやが良いアクセントです。真相が判明するくだりで、ここまで抱えてきた違和感が、スカっと払拭されます。なるほど、本作品は、どんでん返し心理サスペンスだったのね。【MWA賞】2023/08/23
ケロリーヌ@ベルばら同盟
71
解説によると、この作品が本国アメリカで上梓されたのは、1955年。女性作家によるサスペンス小説の黄金期だったという。そして、当時は『サイコ』に代表されるサイコスリラーの黎明期。まさに本作はその嚆矢といえるだろう。ホテルの一室を終の住処とした裕福な独身女性、ヘレンのもとに掛かって来た旧友を名乗る女からの1本の電話が、孤独と倦怠に冷たく凪いだ日常を掻き乱して行く。抑圧された自意識、従順を強要しながらも、凡庸を認めない親の理不尽、高度成長期の社会の歪み。闇は、今も昔も変わらない。息詰まる展開と仰天の結末に脱帽。2022/03/14
みっぴー
52
女流ミステリ作家フェア◆久々にサスペンスを堪能したくなり、手に取りました。ーー◆ミステリ初心者が読んだなら、間違いなく仰天する類いのトリック。ただ、そもそもマーガレット・ミラーに辿り着いた時点で、読者はかなりの手練れと推察されるので、経験を積んだ猛者はすぐに見破れると思います。トリックは分かっても、作品に漂う妖しげな雰囲気のおかげでグイグイ引き込まれ、満足度は高いです。〝暗い話〟とはまた別物の感じがします。〝ほの暗い話〟?とにかく、面白かったです。2017/02/17
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