内容説明
シェトランド島に夏がやってきた。人びとを浮き足立たせる白夜の季節が。地元警察のペレス警部が絵画展で出会った男は、次の日、桟橋近くの小屋で道化師の仮面をつけた首吊り死体となって発見された。身元不明の男を、だれがなぜ殺したのか。ペレスとテイラー主任警部の、島と本土をまたにかけた捜査行の果てに待つ真実とは?現代英国ミステリの精華“シェトランド四重奏”第二章。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
291
二作目。事件の発端は非常に装飾的かつ魅力的なもの。結果としては、道化師の仮面をつけて殺されていたことにも、期待していたようなホワイダニットはなかった。しかし、こちらの先入観とは違うベクトルの作品であったというだけで、面白かったのはたしか。辞典を読んでいるかのような無味乾燥スレスレの文章のせいで、没入するのに少し時間がかかるものの、この先も読んでみたいと思わせるものがある。ペレスとフランの仲があっさり一気に進展していた点は、もっと引っ張ればいいのに勿体なく感じたが、何か起こりそうな予感もする。2022/12/21
ナミのママ
94
〈シェトランド四重奏〉第2作。陰鬱な雰囲気が漂う1作目からかわり夜中でも読書ができる白夜が続く夏。この季節のシェトランドには多くの観光客が訪れる。舞台は数えるほどしか住人が住まない小さな集落ビディスタ。そこで最初に発見された遺体は島の住人でない。今回もペレス・テイラー両警部が捜査にあたるがペレス警部は主人公にしては地味。かみあわない2人だがぶつかり合うわけでもない。大きな盛り上がりもスピード感もないのだが自然と風景の丁寧な描写に引き込まれ紅茶も飲みたくなる。この作品の独特な雰囲気は癖になる。2022/11/23
ふう
78
本土から来たテイラー警部が、「ここの冬は最低だと思ったが、このいかれた明るい夜よりはましだったよ。」とぼやく、白夜の季節に事件が起こります。前作同様、ペレス警部が人々のもとに何度も足を運び、じっくりと会話しながら隠されていた過去をあぶり出し、解決への糸口を見つけ出していきます。胃が痛くなるようなその手法が物語に陰鬱な影を刻み、冬とはまた違う重苦しさでこちらの胸に迫ってきました。閉じ込められた小さな島、という舞台も人々の閉塞感につながっているのでしょう。わたしの浅い読みでは想像もできない悲しい結末でした。2016/04/25
紅はこべ
75
シェトランド特有の自然(本作では特に白夜の様子)、風土、生物の細部が丹念に書き込まれ、事件に関わる人々の心理も、ペレス警部とフランの恋模様をサイドストーリーに細やかに描写される。伏線の引き方も丁寧。英国ミステリにしては、ややユーモアの味わいが少ないかな。2009/10/12
HANA
67
シリーズ第二作。前回はこのスタイルに慣れていなくて戸惑ったけど、今回は面白く読めた。白夜というと夏なのに凍てつくようなイメージを持っていたが、この作品もイメージ通り陰鬱な光の中で物語は進行していく。狭い人間関係の中で隠されていた秘密が徐々に明らかになっていくというのは非常に好み。ただ惜しらむはラストが唐突過ぎる所かな。意外な犯人というものの、芝居の途中で急に幕が下りたような印象を受ける。一作目からの人間関係の変化は続き物ならではの楽しみだよなあ。自作はサンディが活躍するみたいなので、それも楽しみ。2015/06/17
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- 和書
- あなたにはわたしがいる