創元推理文庫<br> 罪人(つみびと)のおののき

創元推理文庫
罪人(つみびと)のおののき

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  • サイズ 文庫判/ページ数 276p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784488243050
  • NDC分類 933

内容説明

傍目に安逸をめさぼっているかに見えたマイフリート館。だが優しかった当主夫人は、ある夜、不可解な深夜の散歩に出た挙句、森の奥で殴殺されてしまう。誰が?何のために?捜査の進展とともに、館はしだいにその真の貌をあらわにしていく。そして人々の入り組んだ心理の綾の中にウェクスフォードが見いだした、ある衝撃的な事実とは…?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

セウテス

89
【ウェクスフォード警部】シリーズ第5弾。マイフリート館に住む夫妻は仲睦ましく見えたが、ある深夜夫人が庭を抜けた森の中で、撲殺されて発見される。ウェクスフォードが捜査を開始すると、複雑な愛憎関係が明らかになってくる。作者の細やかな心理描写と一見何気ない様に思える会話が、実は真実を紐解くものであるという特徴が気持ち良い。正直に言えば、ある意味馴染んだ現代では、謎解きの構成に気づきやすくなっていると思う。随処で差し込まれる様々な作品から引用される文章が、英国民と違い私には然程感じる所が無い事がたいへん残念だ。2020/03/19

hit4papa

56
ウェクスフォード警部⑤。見目麗しい裕福な夫婦。ある日、森の中で妻の死体が発見されます。不可解な深夜の散歩の途中に襲われたのでした…。独特の空気感が漂う夫婦、憎しみあう妻とその弟、腹にいちもつある夫婦の周囲の人々。登場人物たちの入り組んだ心の綾は読み応えがあります。警部は、捜査の過程で、それぞれが抱える秘密を明らかにしていきます。折々、文学を引用するのが警部の癖で、今回はこれが真相解明のヒントになるという趣向です。著者お得意の異常心理ものではありませんが、なんとも、やるせない結末が待っています。2022/05/26

Ribes triste

18
ウェクスフォード警部シリーズ。作品の印象は地味。地味なんだけど、ジワジワとボディーブローのように効いてくる。やるせない感情が、染み入ってくる。佳作でありました。2020/06/09

bapaksejahtera

17
ウェクスフォード警部シリーズ2,4,3作目と読み、本作は5作目。ストーリーに大きな仕掛けはないが、ユニークな登場人物を含めた的確な心理描写ぶりが私には心地良い。警察署管内の名家の夫人が自宅庭に接する森で殴殺され死亡して見つかる。使用人を含め容疑を掛けるべき容疑者は少ない。夫人の弟はワーズワスの研究者で、館に事務室を与えられ執筆の毎日。本作の重要人物の彼のセリフに、聖書やシェイクスピア作品からの引用句が極めて頻繁に登場する。蘊蓄では負けない主人公警部の、ふとしたその発露が重要な契機となって事件は解決に至る。2024/12/06

みみずく

12
いつものように様々な作品からの文章を引用しながら話をして部下のバーデンにうんざりされる警部。殺人事件に巻き込まれた人の恋愛沙汰の苦悩を知ると、自分はもはやそんな悩みを持つこともない、と寂しく感じ、推理がことごとく外れ部下のそれの方が当たっていると拗ねてみたり…。しかし今回は警部の引用癖が真相解明に役立ち大逆転!だった。被害者周辺の人間関係の複雑さも本人たちの目線以外に、町の事情通ライオネルに語らせたりと多面的。脇役たちも味わい深かった。2014/05/16

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