出版社内容情報
ルース・レンデル[ルースレンデル]
著・文・その他
高田恵子[タカダケイコ]
翻訳
内容説明
徹夜の訊問明けに舞いこんだ手紙を読んで、ウェクスフォード首席警部は怒りに震えた。十六年前にヴィクターズ・ピースという名の屋敷で発生した女主人殺し。初めて担当した殺人事件ながら、彼が絶対の自信をもって解決したこの事件に、手紙の主である牧師は真っ向から疑問を投げかけたのだ!過去の殺人をめぐる意外なドラマを鮮やかな筆致で描いた、レンデル初期の傑作長編。
著者等紹介
レンデル,ルース[レンデル,ルース] [Rendell,Ruth]
1930年、イギリス生まれ。地方新聞の記者になったあと、64年にウェクスフォード首席警部シリーズ第一作『薔薇の殺意』で作家デビュー。バーバラ・ヴァイン名義でも作品を発表し、レンデル名義の『わが目の悪魔』『引き攣る肉』、ヴァイン名義の『運命の倒置法』『ソロモン王の絨毯』の四作が英国推理作家協会(CWA)ゴールド・ダガー(最優秀長編賞)に、ヴァイン名義の『死との抱擁』がアメリカ探偵作家クラブ(MWA)最優秀長編賞に選ばれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
61
ウェクスフォード警部シリーズ第2弾。本作は新人作家であったレンデル氏が、得意の人間描写で警部を主人公ではなく別の角度から描く事で、独自色を出そうとした意欲作だろうと思う。息子の婚約者の父親が殺人罪で死刑になっているのだが、娘は母親から「父親は、絶対に殺人犯ではない」と聞かされている。牧師アーチェリーは息子の為に、無罪を証明しようとする物語だ。正直本作がシリーズ2作目である事は、大失敗だと思う。たとえ同じ結末であっても、別の人が担当した事件を牧師と警部で捜査するなら、答えは一つではなく推理を楽しめた筈だ。2018/01/23
hit4papa
28
ウェクスフォード警部シリーズの第二弾です。息子のために奔走する、ある牧師を中心にストーリーは展開します。息子の恋人が死刑囚の娘であるため、結婚を許すことができない彼は、冤罪の可能性にかけて捜査を進めます。牧師と警部の対立が物語を引っ張るのですが、シリーズキャラクターを二作目にして敵役にする、当時新人レンデルのチャレンジ精神が垣間見えます。サイドストーリーが物語に厚みを出しており、地味ながら読んでいて飽きることはありません。興味津々のオチは、意外ではありましたが、落としどころとして上手く収めたのでしょうね。2017/04/29
Ribes triste
14
ウェクスフォードシリーズですが、物語はアーチャリー牧師を中心に動きます。本当に悪人はいなくて、心が弱かったり、少し本当のことを言っていなかったり。アーチャリーに年齢が近いせいか、じんわりと心に染み入る話なのでした。2017/10/10
α0350α
12
同じタイトルの本を見付けたのでカーの「死が二人をわかつまで」と一緒に借りてきました。どんどん先が知りたくなるような展開という訳ではないのに何か手が止まらなくなりますね。最後どうやって大逆転するのかと思っていたら全く違う方向からの一手がきて驚きました。2017/11/10
bapaksejahtera
11
ウェクスフォード警部のシリーズだが、初読なので表題を振り返ってそれと気がついた次第。同警部の許に主人公が初めて捜査に当った殺人事件が誤認ではないかと訴える牧師がくる。捜査に自信を持つ警部は、本件に疑いの余地のない事を説くが、実は息子が婚約している娘が、既に処刑された死刑囚の娘である事を理由に結婚を拒んでいる為、牧師はその息子と共に16年前の事件の真相掘り起こしに挑む。終盤に真実が全く別の方面からほぐれる。やや腰砕け。1967年作品とて、英国の階級意識の残滓や英国国教会の特殊性など。余計な点に興味が移った。2024/11/07
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