内容説明
ガール・フレンドと結託して、アルバニア人の金持に食らいつこうと二人の車を追尾していたクレメント・マンセルは、進行を邪魔する別の車に怒って、運転していた黒人を射殺する。その男が名うての悪徳裁判官とも知らずに…。手がかりは無論のこと何も残さなかった。が、鋭い嗅覚で彼を追ってくる一人の刑事が現われた!レナードの最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
125
レナードのハードボイルドにやられた。警察対どうしようもない悪者。ギャングではないが、本当に悪いやつ。一匹狼で悪知恵が最高にまわるコイツには全く肩を持つ気になれない。この荒くれにつくハードボイルドで綺麗な女弁護士。そして魅力溢れる警察のヤツら。特にレイモンド。40前のポール・ニューマン、レッドフォード、もしくはプラピかな。憎めないこの男が、作品にさらなる味を添える。パルプ的でなく、あくまでも警察対悪者のストーリー。そこには陰気さがなく、少し切ない感じが漂う。んで、ニヤリとしてしまう。おすすめ。2018/12/30
harass
78
再読。原書1980年のピカレスクもの。レナード円熟期の傑作と聞き手に入れていた。再読予定で積読のこれを、レビュに刺激され手に取る。狡猾で凶暴な悪党とそれを追う主人公の刑事たち。この作家特有のリアルな台詞回しと、人物たちを勝手に動くままにさせる手法のせいか、展開が読めずスリリングで引き込まれる。一気に読んでしまった。再読するもこれはやはり傑作。この作家のベストとしておすすめ。2019/01/06
タツ フカガワ
41
悪徳判事の嫌がらせ運転に腹を立てたいわく付きの悪党クレメントは、判事と同乗者の女性を射殺する。捜査に乗り出した刑事レイモンドは、やがてクレメントに疑いの目を向けるが、その彼の前に敏腕女性弁護士キャロリンが立ち塞がる。西部劇でお馴染みの悪党vs保安官ならぬ刑事の対決構図で、これが面白かった。とくに、したたかでずる賢い凶悪なクレメントの存在感が強烈。物語を盛り上げる陰の主人公でした。2023/07/28
hit4papa
35
レナードの初期の警察小説。街中で発作的に判事とその愛人を銃殺した犯人を追い詰めるというストーリー展開です。判事の悪辣っぷりや、殺人犯の正々堂々(?)としたキレっぷりは、レナードっぽさはあります。しかしながら、それをおう刑事たちにトンがった個性がなく残念です。捜査の進展にスピード感やハラハラがなく途中、退屈してしまいました。物語をリードしていく主役の刑事に魅力が乏しいからなんでしょうね。結末も普通の警察小説の枠をはみ出す事がありません。やはり、レナード作品はどいつもこいつも悪党じゃん!の方が好みです。2019/01/16
ポルコ
9
悪党が凶悪で胸くそ悪さに辟易するほど、ヒーローのカッコ良さが際立つ。刑事側も悪党側もキャラが立ちまくり爽快。二転三転するクライマックスも緊張感たっぷりで、ラストの決闘は快感。 2019/10/12