出版社内容情報
真相は常に目の前にある――
英国本格技巧派の芸術的手腕
正義を貫こうとし、全てを失った弁護士。
彼の帰郷は家族と事件関係者に波紋をもたらす。
やがて発生した殺人は、過去に起因するものなのか?
全作翻訳刊行を記念し入手困難の傑作を復刊
「おまえの助けが要る。たった今、きわめて重大と思われるあることがわかった。おまえの義弟のデレクは――」勘当されて以来四年ぶりに実家を訪ねたマークが見つけた、父パトリックの手紙の下書きは何を意味しているのか。当の父は死体となり新聞社で発見される。どうやら父はロイストン事件の再調査をしていたらしい。それは教師をめぐるスキャンダルで、弁護士として事件に関わったマークは、父の意向に逆らって義弟を告発したために勘当されたのだった。父を殺した犯人を突き止めようと、マークの推理が始まる。巧手ディヴァインの第三長編。
内容説明
「おまえの助けが要る。たった今、きわめて重大と思われるあることがわかった。おまえの異母弟のデレクは―」四年ぶりに帰郷したマークは、父の手紙の下書きに不穏な記述を見つける。その直後、父はデレクが働く新聞社で死体となって発見された。どうやら父は、マークが町を去る原因となった“ロイストン事件”の再調査をしていたらしい―。犯人当ての名手の傑作ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
308
今さら復刊すると思っていなかったので嬉しい。『五番目のコード』と同等レベルとまでは思わなかったが、まずまずディヴァインらしさが詰まって満足できるクォリティ。解説がとても良く、この作品の長所・短所を的確かつ端的に教えてくれ、かなりこまかい掘り下げもされている。タイトルにまでなっているロイストン事件が実はあまり本筋に関係ない点などは多くの読者が感じるのではないか。しかもそのロイストンさんが元気にしており、なかなかにクソ野郎っぷりを発揮しながら頻繁に登場するので、なおさら違和感が強い。2024/11/25
yukaring
74
ディヴァインらしいスッキリと無駄のないシンプルなフーダニット。入手困難だった作品の復刊が嬉しい一冊。仲違いしていた父親から届いた手紙。助けを求める内容に弁護士のマークは4年ぶりに帰郷する。しかし時は既に遅く父親は殺されていた…。彼らの仲違いの原因となった「ロイストン事件」を最近調べ直していたという父親。殺人は過去の事件に起因するものなのか?事件を調べるマークの行動は周囲の人々に大きな波紋をおこす。そして起こる第2の事件。着実にロジックを積み上げながらたどり着く真相。推理の過程が楽しめる完成度の高い作品。2024/12/21
geshi
28
解説でも難点をつけられている色々がいちいち納得しちゃう、あまり出来の良いとは思えない作品。肝心の「ロイストン事件」を伏せつつ父親の死の謎で引き込む序盤の展開や嫌な所のあるキャラクター描写は良いが、キャラクター紹介が必要か?と思うほど詳細でせっかくのストーリーの流れを阻害しているように感じる。4年前の事件が転がって情報漏洩や口止めのための別の事件が出てきて「ロイストン事件」関係ないやんと思ってしまった。犯人を陥れる逆トリックを仕掛ける展開はワクワクしたけど、ロジックがしっくりこないから驚きようがない。2025/01/07
stobe1904
23
【ディヴァインの本格ミステリ】仕事の責任を問われ、故郷を追われたマークだが、父から請われて帰郷することになったが…。安定したレベルで本格ミステリを楽しませてくれるディヴァインだが、この作品でも文句なく面白い。またロジック構成に無理がなく違和感や唐突感がない。よくできたクラシックなミステリを読む満足感を与えてくれる作品。★★★★☆2024/12/29
本の蟲
17
寡作かつ基本ノンシリーズなので知名度控えめながら、どの作品も高水準ハズレなし。まさに「ミステリ巧者」と呼ぶにふさわしいディヴァインの復刊文庫版。「ロイストン事件」で父と仲違いした弁護士マークだが、突如その父から助力を請う手紙が届く。帰省したその晩に父の死体が発見され…。冒頭から死体発見というフックと急展開。晩年の父の行動の謎。異母弟との愛憎。見えない犯人像とミスディレクション。他作品に比べて遅れての復刊なので、作者最高傑作とは言えないが、序盤から読者を惹きつけ、一気に読める面白さは相変わらず2024/12/10
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