出版社内容情報
英国北部のごく平凡な町で、13歳の少女ジャニスが姿を消した。捜索もむなしく、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。なぜほかの少女ではなく、ジャニスだけが毒牙にかかったのか？ 殺人鬼はこの町のどこに潜んでいるのか？ 町の診療所に勤める若き医師ケンダルが有力容疑者として浮上するが……。『厄災の紳士』『ウォリス家の殺人』などで各ミステリ・ベスト10を席巻した本格ミステリの巧手、期待の訳しおろし作！
内容説明
ある日、友人と遊びにいった少女ジャニスは帰ってこなかった―。その後、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。有力容疑者として町の診療所勤務の若い医師が浮上したものの、崖から転落死。犯行を苦にしての自殺と目されたが、また少女が殺されてしまう。危険を知りながら、なぜ犠牲に？真犯人への手掛かりは意外にも…。英国本格の名手、待望の本邦初訳作。
著者等紹介
山田蘭［ヤマダラン］
英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
282
犯行にトリックらしいトリックもなく、被害者の遺体が全裸だったことに説得力のある理由づけがされていないあたりなど、本格ミステリとしての完成度はそこそこ程度。読者に対しての、さりげない手掛かりの提示などは上手で、なるほどと唸らされること毎度ではあるが、今回は不必要な煙幕がいつもより過剰で、無意味な匂わせに終わるものも多い。それら、本格としては贅肉となるものが、小説としての彩りにはなっているので、一概に悪くはない。すべてが奇跡的に融合した傑作を読ませて欲しいという、高望みを抱かせてしまう作家であるということだ。2022/11/02
🐾Yoko Omoto🐾
147
2012海外本ミス一位、ディヴァイン作品初読み。評判に違わぬ面白さと国内ミステリと遜色ない読みやすさに一気読みだった。事件に関係する異なる登場人物が各章の語り手となり物語は進行、合間には被害者視点のパートを織り込み構成の巧さを感じさせる。クイーンのような理詰めのロジックではないながら、ふとした疑問や引っ掛かりなど癖のある関係者たちの心理的側面を追いながらの謎解きはかなり好みで、大人の不器用なロマンス部分などクリスティにも通じる印象だ。伏線の妙、ミッシングリンク、犯人、動機など王道路線の安定感があり大満足。2015/05/11
セウテス
87
【ディヴァイン11作品目】本作は3人が交代で語り手を勤める構成であり、3人の人物描写そして3人の魅力が物語を深める様だ。友達との海水浴の帰り、絞殺遺体で発見される13歳の少女。容疑者に思われていた町の医者テリーは、やがて崖から転落という不審な死を遂げる。事件は終わったかと思われていたが、やがて新たな殺人が起こってしまう。色々な魅力の在る物語だが、謎解きとしてはある伏線から、犯人の特定がしやすいのではないだろうか。また動機の説明が予想内ではあるものの、本人の口から描かれてこそ本当のクライマックスに思う。 2021/06/13
タツ フカガワ
56
友達3人と海へ遊びに行った13歳の少女ジャニスが、翌日全裸死体で発見される。まもなく医師のテリーが容疑者として浮上するが、彼は崖から転落死する。警察は事故死と判断するが、この後も同じ手口の殺人事件が発生する。著者は1960～70年代に活躍した英国の本格ミステリー派の作家。癖のある登場人物たち（屈折少女シーリアがいい）に、各章、主要人物の視点から描かれる心理ドラマも読みどころで、終わり方も洒落ていて面白かった。2022/01/10
yukaring
47
ディヴァインらしい正統派ミステリ。英国北部の田舎町。友達と出かけた13才の少女ジャニスが行方不明となり死体となって発見される。現場で目撃された若き医師が疑われるが、彼は崖から謎の転落死を遂げてしまう。事件は解決かと思いきやジャニスの友達の13才の少女達が次々に殺さていく。彼女達は危険を知りながらなぜか犠牲になったのか？殺される理由は？ミッシングリンクをたどるのが面白く、複雑な家族関係やクセのある登場人物たちの描写が活き活きとリアル。手がかりへ導かれる過程がキッチリとしているのもさすがで最後まで楽しめた。2022/07/17
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