出版社内容情報
フェアプレイで謎解きを──伝統ある英国パブリック・スクールのはみだしコンビ、歴史教師キャロラス・ディーンと生意気生徒プリグリーの名推理。英国本格の人気シリーズ第1作。
内容説明
英国のとある小間物屋で深夜、二重殺人が発生。店主のエミリーと、巡回中のスラッパー巡査が犠牲となった。町にあるパブリック・スクールで歴史教師をするキャロラスは、生意気な教え子プリグリーに焚きつけられて、事件を調べることに。嫌われ者だったエミリーのせいで容疑者には事欠かないが…素人探偵の推理やいかに?イギリス屈指の名探偵、キャロラス・ディーン初登場作。
著者等紹介
小林晋[コバヤシススム]
1957年東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
98
全く教師向きではない歴史教師ディーンと、お茶目なプリグリー少年のコンビが良かった。事件そのものは単純である。敵の多い因業な老婆が殺され、巡回中の警官も巻き込まれて死ぬ。多くの人が老婆の死を願っていたのだから容疑者は山ほどいる。本作では、探偵役のディーンが素人のため手掛かりはもっぱら会話に因るのだけれど、その会話が人によって様々な方向へと発展し、一筋縄ではいかない。それを丁寧に読み解き、幾つかの点に気づけば犯人を特定できる。単純なシチュエーションに幾つもの可能性を潜ませており、考えながら読むのが愉しかった。2018/12/28
セウテス
87
【キャロラス・ディーン】シリーズ第1弾。深夜、スラッパー巡査は担当地区の巡回中に、パーヴィス夫人の店の扉が施錠されていない事に気づく。不振に思った巡査は、中に入り夫人の遺体を発見するが、同時に頭を殴られ殉職となる。ディーンと容疑者の会話が中心となるが、事件解決への伏線は全てこの会話の中にちりばめられている。読者への挑戦という様な形式は無いが、生徒の問いかけに君の知らない情報は無いと答えている所が鍵。ミステリ好きなら解りやすいのだが、こうした発想の転換が全体像を浮かび上がらせる、推理しがい在る納得の作品だ。2020/04/17
みゆ
72
初読み作家さん。深夜の小間物屋で撲殺されていた老婆、巡回中に発見した巡査も犠牲になる。容疑者は老婆に強請られていた7人、動機も機会も全員にある。とくれば… って穿って見てたら、分かっちゃいました~('∇^d)☆!! 探偵の関係者集めての推理披露をニヤニヤしながら読了です♡2020/07/02
アイゼナハ@灯れ松明の火
45
物騒なタイトルに似つかわしくない表紙に惹かれて読んでみました。歴史教師にして素人探偵のキャロラス・ディーン初登場作だそうです。久々に正統派ミステリを読んだ気がしますが、面白かった!1954年当時の事件ではあるのですが、よいミステリは歴史を感じることはあっても古びないもんだと感心した次第。…単に登場人物の会話がシャレているところが、個人的にツボなだけかも知れませんが(^^ゞ 憎たらしくも胡散臭い小間物屋の老婦人と巡回の警官を殺した人物は誰?数多の容疑者から犯人を見出だす素人探偵の手腕をとくとご覧あれ。2012/03/14
藤月はな(灯れ松明の火)
30
読書メーターの東海オフ会でジュンク堂に行った時にも目に留まり、「katsukura」でも紹介されていたので購入を決定しました。東京創元社は毎度、いい仕事をしていると思わずにはいられません。ありがとうございます^^性格が悪かった老婆と人の良かった警官は誰に殺されたのかと生徒に解決を挑発されて先生がにわか探偵になることに。登場人物がユーモラスであり、しっかりとした本格ミステリーでもあり、ミステリー論に対する批判も取り入れたまさに極上の作品でした。主人公二人は坂木司さんの「先生と僕」を連想しました。2012/05/02