出版社内容情報
兄である国王の代理でいまだ古の神々を信奉する“禁忌の谷”に赴いたフィデルマ。だが谷の入り口で待ち受けていたのは惨殺された三十三体の亡骸だった。人気シリーズ第6弾。
内容説明
モアン国王である兄コルグーがフィデルマに与えた任務は、古の神々を信奉する“禁忌の谷”に赴き、キリスト教の学問所を設立する折衝をして欲しいというものだった。だが、エイダルフを伴い谷に向かうフィデルマを待ち受けていたのは、生贄のごとく並べられた、三十三人の若者たちの亡骸だった。七世紀のアイルランドを舞台に、美貌の修道女フィデルマが活躍するシリーズ第六作。
著者等紹介
甲斐萬里江[カイマリエ]
早稲田大学大学院博士課程修了。英米演劇、アイルランド文学専攻。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
45
シリーズ長編6作目。今回はフィデルマは兄の国王から「禁忌の谷」にキリスト教の学問所を設置するための交渉を行う使節として赴く。しかし「禁忌の谷」では生け贄のように並べられた33人の若者たちの遺体を目にすることになる。「谷」の族長が進めようとしないため、肝心な交渉は行き詰まったままだし、同行したエイダルフは二日酔いになって役に立たないしと、事態は思うように進まない。ただ裁判官でも弁護士でもないフィデルマは新鮮だった。2021/07/25
Nat
33
この巻から、キルデアのフィデルマからキャシェルのフィデルマになった。33人の若者たちの亡骸の謎は解けず、エイダルフは二日酔いで頼りにならずで、この先に不安がつのる。2022/02/10
Hugo Grove
18
私はこのシリーズのファンです。新作を待ちわびていました。うーん、相変らず面白いです。さて後半へ。2014/02/02
mayumi
16
フィデルマシリーズ第6弾。今回エイダルフは二日酔いでほとんど役に立ちません(笑)。キリスト教は今でこそ三大宗教の一つに数えられるけれど、フィデルマの時代ではまだまだ新興宗教。新しいものに拒否反応を示す人々の気持ちもわかります。ちなみに私は一神教よりも八百万の神を好みますね。2016/05/10
星落秋風五丈原
14
カップルは相変わらずの女性上位。大切な任務の途中でカラスの群れに興味を惹かれたフィデルマが「行ってみましょう。ちょうど、私たちの進路の途中ですもの。」と言うと止められないんですね、エイダルフは。かわいそうに。斬殺された若者達の死体を見るのが痛ましいだろうと、エイダルフが彼女を気遣って「あなたがご覧になるようなものでは、ありません。」と言ったのに彼女は「では、誰の目にならふさわしいのです?」とぴしゃり。すんなりとはいかなそうなフィデルマの任務、惨たらしい死体の謎と不穏な気配が漂う中カップルだけは相変わらず。2014/02/27