出版社内容情報
兄である国王の代理でいまだ古の神々を信奉する“禁忌の谷”に赴いたフィデルマ。だが谷の入り口で待ち受けていたのは惨殺された三十三体の亡骸だった。人気シリーズ第6弾。
内容説明
モアン国王である兄コルグーがフィデルマに与えた任務は、古の神々を信奉する“禁忌の谷”に赴き、キリスト教の学問所を設立する折衝をして欲しいというものだった。だが、エイダルフを伴い谷に向かうフィデルマを待ち受けていたのは、生贄のごとく並べられた、三十三人の若者たちの亡骸だった。七世紀のアイルランドを舞台に、美貌の修道女フィデルマが活躍するシリーズ第六作。
著者等紹介
甲斐萬里江[カイマリエ]
早稲田大学大学院博士課程修了。英米演劇、アイルランド文学専攻。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
52
シリーズ長編6作目。今回はフィデルマは兄の国王から「禁忌の谷」にキリスト教の学問所を設置するための交渉を行う使節として赴く。しかし「禁忌の谷」では生け贄のように並べられた33人の若者たちの遺体を目にすることになる。「谷」の族長が進めようとしないため、肝心な交渉は行き詰まったままだし、同行したエイダルフは二日酔いになって役に立たないしと、事態は思うように進まない。ただ裁判官でも弁護士でもないフィデルマは新鮮だった。2021/07/25
Nat
40
この巻から、キルデアのフィデルマからキャシェルのフィデルマになった。33人の若者たちの亡骸の謎は解けず、エイダルフは二日酔いで頼りにならずで、この先に不安がつのる。2022/02/10
鷺@みんさー
30
う~~~~ん!!なんだろー、惨殺事件の儀式的な猟奇性は大いに興味をそそられるし、ゲイシュなる禁忌によって、古代アイルランドの英雄譚が彩られてるというのは非常に面白いのだが、いかんせんフィデルマの高慢ちき具合がさすがに読み進めるのつらいレベル…( ;∀;) なんだろうこの、巻を重ねるごとに酷くなる感じ。いくらなんでもエイダルフへの態度が酷すぎ。あんたの召使いじゃないんだからさー。エイダルフ死んだかも?って時はあんなに心配したけせにぃ~。なんだかなぁ。まあ、下巻も読むけどさ。2022/07/27
geshi
27
7世紀アイルランドの作品世界を成立させるために宗教・地理・社会状況などの特殊な用語が盛りだくさんで、なかなか読み進めにくかった。巻末にある訳注を見てもよく調べられているとは思うが、さすがに多すぎる。キリスト教の学問所を開くための折衝をするはずが、33人の死体を見つけ、歓迎式典が開かれ、色々な人物が怪しげな動きをして、ほとんど事態が進まない。唯一の仲間であるエイダルフが二日酔いでぐだぐだなのもイラっとさせられフラストレーションを貯める上巻という感じ。2023/07/13
ぽんすけ
27
だんだんとスルメのように癖になってくるフィデルマシリーズ長編。今回はさくっと初っ端から33人も殺されてます。いくらなんでも多すぎる。そしてその謎が全然明かされないまま話は進む。古の教えを守り続ける共同体にキリスト教の教会と学問所を建てるっていうのは、相当難しいんだろうな。伝統と新しい文化の衝突はどの時代であっても生じてくる問題か。只、領主のラズラは開明的な性格で柔軟にこの問題に対処しようとしてると思う。問題はまだ全然明らかになってないが、裏で同時発生、進行中のなんらかの事態。それが何か、下巻に期待。2023/01/02