内容説明
黒髪に青い瞳、ベルギーのラガービールを瓶から直接飲んでいたローザ。出逢った夜、ローザは生気に溢れていた。思わぬ成りゆきから同居することになったが、一年後、公演旅行中のわたしのもとに、彼女が謎の死を遂げたという報せが届く。いったいなにがあったのか。詐術を知りつくしていたはずの奇術師が、愛した女性の真の姿を追いもとめる。俊英が切なく描く、忘れがたい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
daimonn
6
レッドが知る事が出来たのはローズの過去だけで、彼女自身については分かってやりきれなかったという事が分かっただけなのが寂しい。動くはずのなかった彼女の気持ちが動き、一時的にしろ心がレッドで満たされていた事を彼が本当に理解していたら、ラストは変わっていただろうか?最後まで理解出来なかったからこそのラストの彼の心境のようにも思えるけど、違うかな。でもきっと知らないままの方が楽だろう。レッドの切なさがある時点でローズの切なさにとって変わり、哀れさも相まって、それが読了後も余韻を残した。2013/09/09