出版社内容情報
テニスの最高峰・ウィンブルドン決勝。ふたつの若き才能が火花を散らす白熱の名勝負の裏で同時進行する犯罪計画! スポーツ小説とミステリを融合した大傑作、堂々の復活!
内容説明
キングとツァラプキン。境遇の異なる若きテニス世界ランカーは、試合を通じて意気投合し親友となった。彼らは互いに高めあい、やがてともにウィンブルドン選手権への出場を果たす。だが、その世界一の大舞台では、ある大胆な犯罪計画が実行されつつあった―。青年たちの友情を軸に、白熱する試合と犯罪の行方を描いて手に汗握らす、極上のスポーツ小説にして大傑作ミステリ!
著者等紹介
ブラッドン,ラッセル[ブラッドン,ラッセル] [Braddon,Russell]
1921年、オーストラリアのシドニー生まれ。第二次世界大戦に出征し、42年から45年の三年間、日本軍の捕虜となり泰緬鉄道の建設工事に従事する。49年にイギリスへ移住し、作家活動を開始。自身の捕虜体験を綴ったノンフィクションThe Naked Island(1952)で一躍名を馳せる。以降、小説とノンフィクションの両分野で活躍。1995年没
池央耿[イケヒロアキ]
1940年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろんこ*勉強のため休止中
143
中盤以降、主人公2人のテニス対決シーンが圧巻。人間の肉体の動き、躍動感や緊張感が文章からほとばしりでていた。要となる設定は、30年以上前出版された当時は斬新だったかもしれないが、今となってはよくあるスタジオパニックもの。ただスタジオ+警察+犯人の切り替えが非常に巧みで臨場感があった。なんといっても主人公のキャラ設定が素晴らしい。ちょいワルで野性的なキング、純真無垢で健気なツァラプキン。2人の美青年の限りなく同性愛に近い(私にとってはどう読んでも怪しい記述あり)友情が胸を打つ。素敵なスポーツ青春小説と思う。2014/11/21
naoっぴ
83
天才的テニスプレーヤー、キングとツァラプキン。オーストラリアとソ連という異なる環境の二人が出会い、無二の親友となりやがて彼らがウィンブルドンに選出されるまでが前半。後半は一転、二人が対戦する決勝戦で起きた脅迫犯罪計画に試合で立ち向かっていく。青春友情話&白熱のテニスプレー&犯罪のサスペンスという、なんとも盛りだくさんな内容で楽しめました。テニスの試合は臨場感にあふれ、警察と犯人の心理戦にはハラハラ。主人公二人がとっても爽やか、好感度大のいい作品でした。2016/10/15
norstrilia
63
全く古さを感じさせない(1970年代の作品らしい・・・)。決勝戦が始まってからはページを繰る手が止まらなかった。ミステリというよりはサスペンスだけれども、緊迫感がとてもよく伝わってくる。テニスという題材も珍しいし、そしてウィンブルドンという舞台が持つ独特の雰囲気もよい。キングとツァラプキンの友情、そして2人の成長物語ともとれるが、その心情の移り変わりが丁寧に描かれていて、その到達点である試合中の2人の感情の交差する場面は胸に迫るものがある。素晴らしい作品でした。2016/07/02
Panzer Leader
57
35,6年ぶりの再読。ウィンブルドンのファイナルという最高の檜舞台で親友同士の対決とある犯罪計画が同時進行する。この犯罪は付け足しで、メインはあくまでも二人の友情、過酷なツアー生活そして緊迫感溢れる試合の行方を描いたスポーツ小説であるといって良い。とにかくこの二人が魅力的で今のプロテニス界を見回しても匹敵する人物がいない。あえていうならラスタスはボルグの容姿にマッケンローのテニスタイル、キングはコナーズの兄貴分的な性格とパット・キャッシュのプレースタイルといったところか。再読でも色褪せない傑作小説でした。2016/01/31
瀧ながれ
39
山場の、この試合展開と事件解決への流れを描くための、キャラクター造型であり友情の描写である、ことは百も承知で、それでも言いたい。なんの屈託もない、ただ純粋に二人の能力とテニスへの愛だけで戦う試合が見たかった。たぶん二人はこの先なんども試合して、何度も勝って何度も負けるんだろうな。ずっと観ていたかったな。2014/11/23