出版社内容情報
アルバニアの秘密警察に囚われた男。エルサレムの病院で頻発する超常現象。すべての謎を解き明かす、想像を絶する真相とは──『エクソシスト』の著者が放つ驚愕のミステリ!
内容説明
1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や“奇跡”が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ。
著者等紹介
白石朗[シライシロウ]
1959年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
47
「エクソシスト」を書いた作者の久々の新作。と、いうことでやはりオカルトものだろうと想像しながら読んだが、いろいろ入り組んだストーリーのミステリーとして楽しめ、さらに+αの要素が取り入れられている。なるほど。少し読みにくい小説ですが、ゾクゾクさせてもらいました。2013/04/25
あさうみ
45
第一部で不気味な拷問シーンからどうなるのかとページをめくっていくと、だいぶ宗教色が強い。宗教にまつわるエクセトラを知っていたらもっと物語に入り込めたのかな。スパイにミステリー加わり第三部はなかなか面白いが、全体的に冗長さが目につき勿体ないな。2019/05/18
藤月はな(灯れ松明の火)
37
無神国家、アルバニアで凄惨な拷問に屈しない男。その男は不思議な戸惑いと全てを吐き出したくなる雰囲気があった・・・。そして神の国へ至る道の始まりの地、エルサレムでは謎の男の出現から奇跡としか思えない出来事が起き・・・。引用文がペテロを虐殺せんとし、神の光によって一時、盲目になり、改宗したサウロことパウロの逸話。彼にとっては受難であったとしても真理とその恩赦を知ったことは無上の喜びでもあり、だからこそ、死は殉教でもあったのだろう。男と男を虐げた者の会話での「絶望に近い程の赦し」になぜか胸が一杯に詰まりました。2013/06/14
はなすけ
24
作中にもあったが、キリスト教徒を殺しまくっていたサウルが神秘体験を通じて聖パウロになるという話から着想を得たのだろうか。 アルバニアという国について無知に等しかったので衝撃でした。 通読後、赦しの場面を再読して凄い泣けてしまった。作者が元コメディ作家だけあってメラルとメイヨー、イスラエル情報部とCIAの会話にはユーモアが効いてて和む。テーマはシリアスだが「エクソシスト」より読みやすい。 ミステリーとしても面白かった。また読み返したい。2019/10/30
ゆのん
20
かなり良い評判だと聞いて読んでみた。非常に感想を書き難い。凄く面白くてという訳でも無いのに、ドンドンページが進んでいってしまう。最後の最後の章まで幸せな人がいない気がするが他人を心から許せるといういわゆるキリスト教的な幸せが訪れる。他人だけでなく「自分を許す」ことで長期の苦しみから解放され新たに前進していく。私は無宗教な為日常でこのような考え方はなかなかしないので幸福とは?生きるとは?とジックリ見つめる良い機会になったように思う。すっごく面白いという訳では無いが良い本に出会えたと思う。2017/06/01