出版社内容情報
ミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な貴族探偵として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間として大きく成長し、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はそのピーター卿の活躍する中短編から「鏡の映像」「盗まれた胃袋」「銅の指を持つ男の悲惨な話」「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、絶妙な話術が冴える7編の秀作を選んだ短編集である。
内容説明
クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間的に大きく成長、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
112
★★★★☆ ピーター・ウィムジィ卿の活躍を描いた中短編集。 何といっても中編の『不和の種、小さな村のメロドラマ』が最高である。 短編はいずれもミステリとしては謎が単純過ぎて不思議さはないが、逆に頭を悩ますことなくサクッと読める。ホームズシリーズのような明快さが売りといえる。 パーカー警部、アーバスノット、バンターやハリエット・ヴェインといったお馴染みの顔ぶれも登場する。 なお、ウィムジィ卿シリーズの中ではかなり後期の短編も収録されているため、シリーズ制覇を考えるなら最後に読む方が良い。2019/12/29
星落秋風五丈原
42
ピーター・ウィムジー郷の短編集。ホラーっぽい話が多かった『鏡の映像』はまあこれしか答えがないだろうなと。「盗まれた胃袋」遺産の隠し場所にはびっくり。巻末の作者紹介が充実。2018/05/09
minami
36
1893年生まれのイギリスの作家、セイヤーズ。「あの クリスティと並び称されるミステリの女王」との事だけれど、無知な私。初読みでした。ある公爵の次男でワイン通、書物蒐集に音楽が趣味、そして長身、でも鼻はとても大きい‥そんなピーター・ウィムジィ。彼は貴族探偵として、事件を解決する。先入観なく読みだしたので、途中「えっ、いつの時代⁈」となった。でも、読みやすく、そしてピーターのファンになった。今回は短編だったので、長編も読んでみよう。2019/07/14
Betty
36
セイヤーズのピーター卿シリーズを纏めた短編集。どの作品も読みやすく文章が綺麗です。馬車から車に変わってきた頃のイギリス。どれもムードがあって好きだなぁ2018/01/15
Yuki
28
帯にやたら「貴族探偵登場」だの「貴族探偵の優美な活躍」だの書かれるのはあのドラマの影響か。唸るほどお金持ちの貴族で奇妙な事件には目のない探偵。語尾は「だぜ」で犯罪学の研究者、警察と一緒に捜査する探偵というと日本のあの犯罪社会学者も思い出す。そういう風にきっといろいろな探偵の原型でもある、モノクルが決まってる英国紳士ウィムジイ卿が活躍する中短編集。古い作品なのですぐわかっちゃうものもありつつも、当時の探偵小説の香りを楽しむ作品。SFや怪奇小説の雰囲気もあってノスタルジック。2017/12/18