出版社内容情報
M・D・ポースト[ポースト]
著・文・その他
菊池光[キクチミツ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
56
19世紀初め、開拓時代のアメリカの無法に真っ正面から対峙する、日本では数少ない背景の珍しいタイプの主人公です。14本の短編集からなり、語り手のマーティン少年は作者自身がモデルだと思われ、アブナー伯父や他の登場人物も、家族や少年期の体験から生み出されたと感じます。大自然の雄大さをかもし出す風貌に質実剛健な態度は、たいへん個性的な探偵です。当時としては斬新なトリックが多いだけではなく、アブナーの語り口に思わず惹かれてしまいます。「ナボテの葡萄園」の意外な犯人をはじめ、完成度の高い作品が多いのにも驚きました。2015/09/03
maja
17
部開拓時代のウェスト・ヴァージニア、広大で肥沃な土地を舞台に厳格で信心深いアブナーが事件の解明に挑んでいく。巡回裁判所などいろいろとこの時代を楽しめた。「藁人形」が面白かった。「ナボテの葡萄園」「養女」老伝道者の姿が目に浮かんでくる「アベルの血」。読み返すと一番好きな「地の掟」、極端に倹約する老人の貯めていた金貨が無くなった。暗闇の濃さに何をみる純朴な老人の真剣さ、諭すアブナー、現実的なランドルフたちのやりとり、娘の軽やかな姿とともに印象的だ。2023/01/08
Ribes triste
16
開拓時代の米国ウエストバージニアを舞台にしたミステリー。短編14編の連作集。アブナー伯父の発言はつねに敬虔な信仰心に溢れているが、人の心のダークな深淵を見据える観察眼は、ブラウン神父よりも冷徹です。そして、謎解きの論理展開も楽しい。実直だけれど、割と短絡的な相棒のランドルフ判事がいい味を出してます。楽しませてもらいました。2022/10/31
ヨッシー
10
初版、旧表紙(この表紙好き)。アメリカミステリ史におけるポーとヴァン・ダインのつなぎと言われますが、全然両者に似てませんね(笑)いわゆる歴史ミステリにあたり、開拓時代の独特な事件を、正義の執行者であるアブナー伯父が解決する、という勧善懲悪物&人情物です。ミステリとしての出来は平凡で、フェアプレイなどは全く心がけられておらず、作者の勝手により話が進むのですが、この独特な雰囲気には何とも言えない魅力があります。全体的に出来にブレはなく、とっても楽しめました。マイベストはやはり「ナボテの葡萄園」、これは傑作。2011/11/14
ホームズ
10
ちょっと読むのが中断してましたが再開(笑)『アンクル・アブナーの事件簿』と収録作品がほとんどかぶってましたね。訳のせいかこちらの方が読みやすかったですけどね(笑)宗教的な話が多く少しめんどくさい感じもあったけど楽しめたので良かった(笑)2010/10/28