感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
179
ゲスリンが殺された大臣邸に向かう道すがら宿の主人から話を聞く。周りの景色や館の外観が少しずつ眼に入ってくる。私はこういう書き方が好きだ。長所とも短所ともいえるが、セイヤーズやバークリーの捻った文体に比べて読みやすい。鑢による殴殺。引き倒され止まった大時計。花壇のサンダルの跡、薔薇に引っかかった長い髪から、川を泳いで来た女がいるはずだと考察するのも面白い。だが後半、人の外見から犯人ではあり得ないと推断するなど恣意性が強くて首を傾げた。1920年代に始まるフェア精神の先駆けらしいが、フェアかどうかは難しい所。2022/04/03
歩月るな
15
1924年作品。ゲスリン大佐もディレッタントで燃え尽き症候群のニートであり、ロジャー・シェリンガムやウィムジィ卿と同様一次大戦の後遺症を抱える素人ではない素人探偵。解説は概ね素晴らしいのだが作者の筆力の弱点を人物の実在感が乏しいとするのは、そういう言い方したらどん詰まりでしょうと思わなくもない。文章に魅力が無い所か超一級のエンタメ小説であり、ホームズの時代から黄金期に突入したからこそどんな立派な人でも恋愛が絡めばへまをする、そこに比重が置かれているのが何より人間的で、愛が絡めば論理もへったくれもないのだ。2017/11/30
のざきち
6
この作品、昔は童謡殺人の代表作としてよく紹介されてたと思うんですけど、読んでみるとあまり関係なかったですね。それにしても1924年の作品って事は、まだヴァンダインもエラリークィーンも世に出てないんですよね。それでいてこの論理的志向…驚きです。でももっと驚きなのは、100年ほど前から、既に花粉症に悩まされてた人がいたと言う事でしょうか(汗)2019/03/21
shimomiyan
3
「幻の作家」たる理由を説明する解説が率直で面白かった。文庫になっている他の2冊が気になった。 2011/06/16
ホームズ
3
表紙が違うやつを買ったので再読。再読すると感想が変わるものでゲスリンとルーシアの恋愛も気にならなかった(笑)凶器の鑢の持ち手に残された容疑者の指紋の謎が面白かった(笑)2008/11/11
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