内容説明
巨匠マクベインの呼びかけに応え、名だたる人気作家が集結した書き下ろしアンソロジー。広義のミステリを書くこと以外は制約を受けず、各人が腕をふるった成果。本巻には、奇しくも“87分署最後の事件”となったマクベインの中編に、不運な天才犯罪者ドートマンダー、殺し屋ケラーなどが登場する全5編に加え、マクベインによる序文を収録。
著者等紹介
木村二郎[キムラジロウ]
翻訳家・ミステリー研究家・作家。1949年大阪府生まれ。ニューヨーク市ペイス大学社会学部卒
田口俊樹[タグチトシキ]
英米文学翻訳家。1950年生まれ。早稲田大学文学部卒
中川聖[ナカガワショウ]
英米文学翻訳家。1961年生まれ。東洋大学文学部中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
16
中編ミステリのアンソロジー。不運な天才犯罪者ドートマンダー、殺し屋ケラーと言ったおなじみの面々の作品は面白かった。87分署ものは読んだことが無かったけど、ほかのものも読みたくなった。マクラム「復活」もすごみのある傑作でした。2018/10/31
Ribes triste
11
再読。手にとったのは、大好きなエド・マクベインの87分署シリーズの遺作が読めると知ったからです。そこだけ読めればなんて思っていましたが、マクベインが編んだ本です。面白くない訳がない。しかも中編なのでかなりの読み応え。一気に読了。blackへ。2016/02/23
KAZOO
10
短篇に比べると中編というのは難しいのではないかと思われます。その中で水準以上のものを選んで、全10編のうちここには5編が収められています。エド・マクベインは87分署シリーズから持ってきています。エド・マクベイン、ローレンス・ブロックは読んだことがありましたが、それ以外の著者は未読でかなりの水準で期待を裏切りませんでした。2014/03/09
bapaksejahtera
9
87分署物の落ち穂拾いをして、5篇からなるこの中編集に辿り着いた。企画が9.11テロの直後に組まれたことで、皆なにがしかその雰囲気を受けている。マクベインの「憎悪」は、テロを偽装した殺人とその模倣犯罪で87分署の他CIAやFBIも登場する。晩年の作としては可というところ。ドナルド・E・ウェストレイク「金は金なり」の軽妙なタッチは良い。殺し屋の生活と意見と言うべきローレンス・ブロック「ケラーの適応能力」は流石だ。20世紀に入った頃、奴隷解放前のアパラチアを回想するシャーリン・マクラム「復活」は傑作であった。2021/05/26
spica015
5
ミステリは好きだけれど、これまで現代のアメリカを舞台にしたものを読むき機会が余りなかったので、なかなか新鮮だった。〈87分署〉シリーズの「憎悪」は登場人物の多さに戸惑ったものの、連続殺人を巡る群像劇が生き生きと描かれていて面白かった。「ランサムの女たち」もスリリングだったけれど、風呂敷を広げ過ぎて収集しきれなくなった感じがした。「ケラーの適応能力」は殺し屋の自分探しといった感じで、それが何とも皮肉めいており、驚きこそないが、好きなタイプの作品。やっぱり中編は読みごたえがある。2014/01/09