出版社内容情報
首と手を切りおとされ、ビロードにくるまれた死体。古都プラハでおきた連続殺人事件に、ウィーンの探偵ホガートが挑む。『夏を殺す少女』の著者が仕掛ける驚愕の真相とは?
内容説明
保険調査専門探偵ホガートは顧客からある依頼を受けた。プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失し、調査に派遣した調査員が行方不明になった件を調べてほしいというのだ。プラハに飛んだホガートは、死体の首と手を切りおとしビロードにくるむ、猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?
著者等紹介
酒寄進一[サカヨリシンイチ]
ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
読メさんの感想で読んでみました。前半は少し展開が遅いような気がしましたが、後半に入りスピードアップしてなかなか楽しめました。確かに場所はウィーンでもいいのではないかと思いました作者はプラハに思い入れがあるのでしょうか?また最後のほうは、ダニエル・キイスの作品を思い起こしてしまいました。「夏を殺す少女」という前作も評判が高いようなので読んでみます。2015/09/17
巨峰
54
古都プラハを舞台にウィーンの保険調査員が連続猟奇殺人事件に巻き込まれていく。「ヴルタヴァ川(モルダウ)の霧の中では夢と現実の境界があいまいになる」小説にでてくるプラハの町の名所を検索しながら読みました。中身も複合的に事件が絡まって複雑だけどわかりやすく、また調査員の相棒となるプラハの女性探偵も魅力があり、良い読書となりました。2021/03/23
*maru*
43
『夏を殺す少女』シリーズが大好きなグルーバー4冊目は保険調査専門の探偵ホガートが主人公。プラハの国立美術館で絵画が焼失した事件を調査していた探偵が行方不明となりホガートに声がかかる。しかし、失踪した同僚の足取りを探るべくプラハに降り立った彼は殺人事件に巻き込まれてしまう、というお話。首と両手が切断され白と黒のビロードにくるまれた死体。謎のアルファベット。本書のネタに関しては完全に好みの問題で正直しょんぼりモードに入ってしまったが、ストーリー自体は面白くチェスやゴーレムを絡めた内容もとても興味深かった。2019/02/14
あさうみ
42
この作者さん好きなのですが「夏を殺す少女」に比べるとやや粗いかな…!プラハの街を利用したミステリーとか面白いし、美術画や裏社会のボスまで絡んで物語の装飾が上手いなーと思う。しかし私にはあの用心棒が不憫に思うんだが…。突っ込みどころはあるけど、エンターテイメント味は楽しみました。2018/12/24
白玉あずき
37
うまい、おもしろい。チェス、ゴーレム、無声映画、ゲットーの歴史といった小道具が効果的で、強く印象に残った。暴走タイプの主人公。雇い主側なら恐くてとても使いにくいわ。法の執行者でないため一段と危ない橋をわたる事となり、読者もハラハラしどおし。しかし児童虐待がテーマだと陰鬱でやりきれないものだなあ。どう転んでも救われないし、最後にイヴォナのとった行動もすっきりとしない後味が。裏社会を含めて、プラハの街案内として良い作品でした。3部作らしいが、第2部って出ましたっけ。次も読んでみたい。2017/08/13