感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
64
美術館からの盗品発見依頼が、こんな展開にまで発展してしまうとは、意外でした。探偵のリディアとビルの凸凹コンビの軽快で楽しい会話と、物語の内容がアンバランスなのが、かえって新鮮に感じられました。舞台になっているチャイナタウンの雰囲気も巧く描かれていて、ガオじいさんが、物凄くいい味出してました。映像で観てみたいです。殺人事件なのに暗さを感じさせないアメリカらしい作品でした。2012/07/24
Tsukamo
30
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ一作目。とても面白かった。このシリーズの語り手はリディアとビルが一作ごとに交代するらしく、今回はリディアが主役。強気で負けず嫌いなリディアがギャングと対峙し、度々危険な目に遭うのでヒヤヒヤすることも。リディアが中国系アメリカ人というだけあって中国の文化が物語の端々に見られて興味深かった。リディアとビルの関係が非常に良く、二人の会話の場面は思わずニヤッとしてしまった。読後感も悪くなく、二人の関係がどうなっていくのか気になるシリーズ。二作目も読みます。2018/05/08
norstrilia
30
個人的に一番翻訳を楽しみにしているシリーズ。中国系アメリカ人リディアと、白人ビルのコンビで、一作毎に語り手が入れ替わる。どちらが語り手でも軽妙洒脱な会話の応酬は大きな魅力。 本作は、リディア。彼女のバックボーンであるチャイナタウンを舞台に、盗まれた磁器を巡って、深まる謎に巻き込まれていく。非常にテンポよく物語が進んでいく。正直ミステリとしては必ずしも論理的構成であるわけではないけれど(特にリディアは直感的に動いていくので)、リディアとビルが話し合って事件に向き合っていく、その二人の協力関係がとても魅力的。2015/09/27
kyoko
29
25年ぶりの再読。これが第一作だったのか。チャイナタウンの雰囲気が生き生きと描かれている。そしてアメリカで育ったバイリンガル二世としての暮らしぶりや考え方が会話や食事の様子からうかがえる。リディアとビルの雰囲気もいいし、色んな現場から逃げた時の待ち合わせ場所もわたしは覚えていた。1994年の作品ということで、携帯電話は本作にはまだ登場してない。そんな状況で事件を追ったり連絡を取り合ったりしている状況が懐かしかった。このシリーズは全部買っているのでこれからリディアビル祭りだわ。2022/06/28
fukumasagami
26
「可能性は常にある」 「常にある?」わたしは吐息をついた。「他人の本心は決してわからない。いやな話ね」 「だからこそ、きみはこの仕事が好きなんだ」 わたしは驚いて彼を見上げた。「どういう意味?」 「調査している事件の内容がどうであれ、実際に何が起きたのかを探り出す過程で、きみは他人の本心を知ることになる」 わたしは考えてみた。「あなたの言うとおりだわ。どうしてわたしが、他人の本心を知りたがっているとわかったの?」 「さあ。ぼく自身はそ言う類のことを知ると、いつもうんざりさせられるがね」2017/05/02