出版社内容情報
ウィリアム・アイリッシュ[ウイリアムアイリッシュ]
著・文・その他
稲葉明雄[イナバアキオ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
255
★★☆☆☆ ブラックシリーズ3作目。ホラーとスリラーの中間ぐらいの作風。 架空の南米の都市を舞台に、逃げ出した黒豹が次々と美女を惨殺する。そんな中、主人公のマニングのみが人間の仕業ではないかと勘付く。 最初のテレサが殺されるシーンの緊迫感はかなりのもので、ページをめくる手が止まらなかった。しかし、徐々にマンネリ化していったのは残念。 ぶっちゃけ真犯人はこいつしかいないと思える人間だった上に、至極あっさりとした決着だったので満足感は得られなかった。 2022/06/25
cinos
11
逃げた豹が殺人を犯す。アイリッシュ得意の連作短編風のサスペンス小説。ヒロインががんばる姿に感動した。犯人の姿には恐怖とともに笑いを覚えた…。2017/06/19
Ayana
10
残念ながら、アイリッシュに謎解きやトリックの面白さは望めない。トリックはないし、解く謎に伏線があるわけでもない。でも、最高級のミステリなんだ。冷たい恐怖の描き方や洒落た言い回しが大好きだ。雰囲気がアメリカのドラマ『クリミナル・マインド』と少し似てる。2019/10/15
SIGERU
9
「黒いアリバイ」(1942年)読了。これでウールリッチのミステリ長篇を全てコンプリートした。原型となる短篇を既読だったので意外性を愉しめなかったのは残念だが、読ませる長篇に仕上がっており、全盛期の筆力を充分味わえた。終章の、親友を惨殺された美女が勇気を揮って囮を演じ、犯人をおびき出すというサスペンス設定は、まさにウールリッチの独壇場。この作品で終えられてよかった。いま、宴が終わった後の一抹の寂しさをしみじみと感じている。2016/10/25
J・P・フリーマン
6
ある女優の宣伝のために連れてこられた黒豹が逃げ出してから、町には惨殺死体が転がるようになった。忍び寄る殺戮者に追い詰められる女性の恐怖をアイリッシュが誌的な表現で紡ぐのだが、いかんせん話がワンパターン。後半になると飽きてくる。結末もカタルシスを得るには程遠い。2018/10/11