創元推理文庫<br> 暁の死線

創元推理文庫
暁の死線

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  • サイズ 文庫判/ページ数 369p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488120023
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐々陽太朗(K.Tsubota)

93
故・江戸川乱歩は著者(ウィリアム・アイリッシュ=コーネル・ウールリッチ)の傑作順位として①『幻の女』、②『暁の死線』、③『黒衣の花嫁』と列べたそうだが、私なら①『喪服のランデヴー』、②『暁の死線』、③『幻の女』とする。故・寺山修司の意見に近いのではないかと思う。ミステリー・サスペンスとしての技巧、出来よりも、主人公たちの心情描写を重視する傾向があるのかも知れない。アイリッシュの描く都会での孤独感と、その孤独を癒やしてくれる唯一無二の人への渇望。私はアイリッシュのそうした情調をこよなく愛す。2014/12/28

セウテス

80
〔再読〕たった3時間を描いた、タイムリミットサスペンス。大都会ニューヨークで出会ったばかりの男女が故郷へ帰る為に、殺人事件の犯人を突き止めようとする。夢を叶える事叶わぬ人たちにとって、冷たく厳しい大都会と、その中で自分を裏切る事なく時を刻むパラマウント塔の大時計を使い、二人の心情を表現しているのが何とも作者らしい。特に各章節の見出し代りに、時計が描かれ針が一刻一刻と進む演出は、手に汗にぎる様な焦燥感を呼び起こす。若い二人が大都会で挫折し、故郷を目指して再起する物語とも言え、ミステリ度が低いのが少々残念。2018/10/18

アナーキー靴下

74
とても良かった。ミステリーとしてなら『幻の女』の方が楽しめるだろうと思う。でも、都会に潰された若い二人、特にブリッキーの、感傷的とは程遠い気丈さに、何度となく涙ぐんでしまう。寂しいから孤独を感じるわけでも、孤独だから心細くなるわけでもない。孤独だから孤独、それだけ。その中で二人が出会った奇跡。故郷で出会えたはずがすれ違い、都会に散々すり減らされた二人がようやく出会い、目にもの見せてやると足掻く様に、心震わされずにはいられないのだ。「最後の一時間の、最後の一分の、最後の一秒まで、手遅れなんてことはないのよ」2023/06/16

へくとぱすかる

61
初めて読んだのは高校の夏。強烈な切なさに最大級の感動をした記憶がある。まるで名作シネマを見るようなイメージの体験は、一生の記憶に残ると思う。大都会で失意の毎日を送る若い女性が、深夜に偶然に出会った「隣の男の子」。彼にかかる殺人の嫌疑を晴らし、故郷に帰れる最後のチャンスまで、タイムリミットはわずか数時間。警察に頼れずに間に合うのか。手がかりを探して危険にさらされる展開に何度もハラハラする。再読でもラストの余韻には感涙。章ごとにその時間を示す時計という演出が心にくい。自分的に『幻の女』以上の作だと思っている。2022/01/17

papako

54
アイリッシュ二冊目。大都会ニューヨークで偶然出会った同郷の二人。故郷に帰りたい女と道を踏み外しそうになった男が、故郷に帰るために殺人事件の犯人を探す。タイムリミットは夜明けのバス!時計塔が二人を見守る。少しの手がかりから怪しい人を探しだす二人。古風な文章が二人の心情をうまく描いていて、はらはらしながら楽しめました。ただ『幻の女』の衝撃の方が大きかったかな。でも、こういう小説、好きです。2016/05/27

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