感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
332
かなり良い出来の短編集。何よりカーにしては読みやすい。『妖魔の森の家』は海外短編オールタイムベストで1位になっていたが、シンプル&ソリッドで納得のクォリティ。ただし必然性は弱い。続いて『第三の銃弾』と『赤いカツラの手がかり』の二作が良い。カーの短編はクイーンほど人物が味気なくならず、クリスティほどミステリとして薄味にならず、バランスが良く楽しめる。トリックメイカーとしての持ち味も存分に発揮されており、最初の一冊として進めるならば『三つの棺』や『ユダの窓』よりもこの短編集かもしれない。未読の短編集も期待。2017/01/13
Kircheis
153
★★★★★ 表題作は数ある短編ミステリの中でもトップクラスの作品だと改めて思った。最初はあまりに期待値が上がりすぎていて拍子抜けした記憶があるが、短い中に数多く張り巡らされた伏線を回収しながら読むとその雰囲気も含めてやはり凄い作品だ。また、H・M卿のキャラがいいのでミステリとしてではなく、読み物としても完成度が高い。 他の短編3つも中編1つもなかなか良い。特に中編『第三の銃弾』は、カーの専売特許である密室物で、かつ純然たるパズラー物で読み応えがある。2020/01/02
hit4papa
83
ジョン・ディクスン・カーの不可能犯罪もの短編集第二弾です。ちょっと長めの全五作品が収録されており、シリーズキャラクターであるH・M卿とフェル博士が登場する、カー初心者には入り易い作品集です。二十年前の人体消失事件の真相を看破し、さらに第二の消失事件では猟奇的な殺人事件を解決してみせるH・M卿。ぞくぞくっとするような気色悪さが秀逸な「妖魔の森」、警察の目前で起きた存在しない銃で行われた殺人事件「第三の銃弾」の二編がお気に入り。特に「第三の銃弾」は後に長編化された、これぞ本格ミステリな作品なのです。2020/02/22
とよキチ
83
ジョン・ディクスン・カー5冊目。ディクスン・カー短編全集2。全5編収録◆怪奇的要素は少なめだが、どれも粒揃い。カーお得意の密室トリックの嵐に酔いしれた。中でも表題作は群を抜いており、クイーンもこの短編のフェアプレイぶりを激賞したらしい…。真相を知った後で読み返せば、確かに解決への手掛かりがあちらこちらに撒かれており、唸らされる。“ミスディレクションの巧さ”が光る傑作。2013/02/04
藤月はな(灯れ松明の火)
67
人間の消失を描いた表題作は馬鹿ミスかと思いきや、ラストで分かる真相にぞっとしました。『軽率だった夜盗』のラストの皮肉で笑いを堪えるのに必死になり、バナナの皮で滑るというギャグの定番が当時もあったことに吃驚。中編である『第三の銃弾』は複数の銃で撃たれた憎まれ弁護士の死因は空気銃によるものだったという、死因を引き起こしたのは誰かというミステリー。事件を引き起こした者の反応に怒り心頭に達していたら読者の心を代弁してくれる対応に心で喝采を挙げました。2014/01/16
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