出版社内容情報
エラリー・クイーンや江戸川乱歩が認めた傑作など、
巨匠の逸品6編を収める必読の短編集!
全収録作品新訳・初訳
一夜のうちに発生した三人の変死事件。不可解な事態の真相が鮮やかに明かされる「三人の死体」。奇妙な味わいが忘れがたい「鉄のパイナップル」。不思議な能力を持つ孤独な教師の体験を描く表題作。そして〈クイーンの定員〉に選ばれた幻の「フライング・スコッツマン号での冒険」など、『赤毛のレドメイン家』で名高い巨匠の傑作六編を収める、いずれも初訳・新訳の短編集! 解説=戸川安宣
■目次
「孔雀屋敷」
「ステパン・トロフィミッチ」
「初めての殺人事件」
「三人の死体」
「鉄のパイナップル」
「フライング・スコッツマン号での冒険」
内容説明
一夜のうちに発生した三人の変死事件。不可解な事態の真相が鮮やかに明かされる「三人の死体」。奇妙な味わいが忘れがたい「鉄のパイナップル」。不思議な能力を持つ孤独な教師の体験を描く表題作。そして“クイーンの定員”に選ばれた幻の「フライング・スコッツマン号での冒険」など、『赤毛のレドメイン家』で名高い巨匠の傑作六編を収める、いずれも初訳・新訳の短編集!
著者等紹介
武藤崇恵[ムトウタカエ]
成蹊大学文学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
352
★★★☆☆ フィルポッツの短編の中から出来の良い作品を6つ収録。 超ロジカルな『三人の死体』が1番好み。さすがに論理が飛躍しすぎだが、なるほどとは思わされた。 他の作品もなかなか味わい深く、あくまでマニア向けだが悪くない。 オチは読めるものの雰囲気の良い表題作、帝政ロシア時代の悲しき物語『ステパン・トロフィミッチ』、神の見えざる手が因果応報を導く『鉄のパイナップル』、直感が真相に繋がる『初めての殺人』、不思議な成り上がりストーリー『フライング・スコッチマン号での冒険』が読める。2024/10/08
yukaring
73
様々なテイストが楽しめるフィルポッツの短編集。『赤毛のレドメイン家』以外の作品を始めて読んだが奇妙な味わいがクセになりそうな六編。一番好きなのは表題作の『孔雀屋敷』ジェーンの見た幻覚が孔雀屋敷で起こった過去の殺人の真相を明らかにする不思議なストーリー。また一夜のうちに3人の人間が変死した事件を追いかける私立探偵。調べるほどに不可解さが際立つ事件を彼が見事に解き明かす『三人の死体』も読み応えあり。鉄のパイナップルに取り憑かれた男が延々とパイナップルへの想いを語る『鉄のパイナップル』も風変わりでジワジワきた。2024/03/02
cinos
55
「三人の死体」を昔「三死人」のタイトルで読んだはずでしたが、内容を忘れていて死人についての報告書から心理分析で謎を解き明かす安楽椅子探偵ぶりがすごかったです。「鉄とパイナップル」も昔読んだことがあるのを忘れていました。異常心理が怖いです。2024/01/30
ざるこ
38
6篇。1920年代作品。ちょっと回りくどい表現や覚えにくい名前に行きつ戻りつの読書だったけど英国の田園風景など豊かな描写をゆっくりと楽しみながら読んだ。ミステリ要素は軽めかなと思うけど携帯電話や監視カメラがあっては成立しない物語は古風でよい。「孔雀屋敷」はジェーンの異能ぶりが鍵になるので現実味に欠けるけど真相の愛憎劇はリアル。「ステパン・トロフィミッチ」城主と小作農という関係、秘密の拷問、殺人。皮肉な結末が時代を感じさせる。「鉄のパイナップル」主人公の偏執ぶりが最高。殺害場面を想像したら笑えてしまった。2024/09/05
ニミッツクラス
32
23年(令和5年)税抜1000円の創元推理文庫緑背初版。3冊の底本から抽出した6編を初訳新訳で収録。フィルポッツは懐かし過ぎる…目頭熱くなる。この新訳シリーズは松本氏のカバーも良いね。巻頭の表題作は異能(過去視)で惨劇を見た女性主人公に明かされる意外な真実。「三人の死体」は当事者兄弟が双子設定でかなり勘ぐった…ポワロやマープルならどんな結末にしたかな。「鉄のパイナップル」は外構の門柱飾りの金属塊の事で、結果オーライ話? 何れも19世紀終盤から20世紀初頭の主に英国での話で、時代の息吹を感じる。★★★★☆☆2024/07/09