出版社内容情報
ガブリエル・ゲイルは風変わりな詩人画家であるが、いくつかの怪事件を解決した名探偵でもあった。「もし、あたり一面についた誰かの手の跡を見せられたら、その男がなぜ逆立ちをして歩いたか教えてあげましょう」彼自身狂人で逆立ちをよくするから、それがわかるというのだ。奇怪な事件を解決するゲイルの幻想的な探偵作法。全8編収録。
G・K・チェスタトン[G・K・チェスタトン]
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
内容説明
被害者の足跡と海星だけが残されていた浜辺の刺殺体。不吉な象徴を配した家の晩餐になぜか13人目の客として招かれた詩人。「奇蹟を起こす」と言い置いて巨大な塔から消失した男―世界をさかしまに覗くことによって真実を見出す詩人画家ガブリエル・ゲイルの、逆説の探偵術が解き明かす不可思議で美しい謎。巨匠チェスタトンの魅力が横溢する8編を収めた幻想ミステリ短編集。
著者等紹介
チェスタトン,G.K.[チェスタトン,G.K.] [Chesterton,Gilbert Keith]
1874年イギリス生まれ。作家、評論家。1936年没
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年東京に生まれる。東京大学大学院英文科博士課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kircheis
112
★★★★★ チェスタトンの著作ではブラウン神父シリーズが有名だが、この『詩人と狂人たち』こそが最高傑作だと思っている。 画家であり詩人でもあるガブリエル・ゲイルが物事を逆さまに見て、隠された真実を読み取っていくという短編集だが、第一編と最後が繋がっていてエンディングを余韻に溢れたものにしてくれる。 狂人の心を読み取るところにゲイルの特徴があり、結果として事件を未然に防いだりもするので、ミステリとは少し違うかもしれない。 全編お勧めだが、中でも『黄色い鳥』と『ガブリエル・ゲイルの犯罪』が特に好き。2019/11/24
藤月はな(灯れ松明の火)
90
G,K,チェスタトンの毒っ気の効いたユーモアと明確すぎる論理が冴え渡る短編集、復刊。この本、ずっと、読みたかったけど、どの図書館にも所蔵されていなくて泣く泣く、諦めた本だったのよね~!狂人は確固たる信念と論理を持って行動している。その狂人の論理を見抜けるのは狂人だけだ。探偵役で詩人のガブリエルも狂人なので、本当に真実か分からないのが味噌。特に「鱶の影」での「無実で囚われた人を助けるにはどうすればいいんか」という浮上した問題への回答が酷すぎて顔を青ざめつつもニヤけるしかないという不思議な状態に陥りました。2016/12/27
星落秋風五丈原
44
詩人画家のガブリエル・ゲイルの正気がどこまで、狂気がどこまで、と書かれていることをそのまま受け取ると頭が混乱してきます。2016/12/24
阿部義彦
39
これは本当に凄かった。あのブラウン神父シリーズで知られる、G・K・チェスタトン晩年の作品。ここでの探偵役は画家兼詩人のガブリエル・ゲイルです。突然逆立ちをして呟く「この世界は上下逆さまなのです。僕らはみんな上下逆さまなのです。」相変わらずエキセントリックな切れ者(と言うよりこの小説ではキチガイ一歩手前)ぶりで通りすがりの謎を解決します。ブラウン神父よりもある意味不親切に要所要所だけをぶつ切りの様に見せて、かなりの飛躍もありますが、それこそが作者がこの短編集(全8話)で狙ったダイナミズムでも有ります。濃厚!2017/05/10
masabi
29
【要旨】詩人・画家・探偵なガブリエル・ゲイルの逆説的な推理が披露される。【感想】わけもわからず手探りで進むと突然に事件が一応の解決を迎える。「ヴァリス」とはまた違った狂気分がある。自分で探偵たらんとするのではなく、他人が論理を見落とすものでも見方を変えることで解決するのを何となく示す。2017/05/05
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