内容説明
孤児にして哲学教授となったバルタザールの持論は、人生には冒険など存在せず、平凡な出来事の積み重ねがあるだけだ、というものだった。自らも、それを絵に描いたような毎日を送ってきた彼だったが、婚約者の父親と会った日を境に、その生活は一変する。相手の意を満たすため父親探しに奔走する過程で巻き起こる、猛獣使いや、殺人犯、詩人、地中海の小国の王などが入り乱れての大乱戦。いったいバルタザールの父親は誰なのか。そして、夢遊病者の語る“頭のない父親”のイメージが意味するものとは…?ルブランがユーモアたっぷりに贈る快作。