内容説明
ロボレー城―サーカス団の女座長ドロテが興行先で出くわしたその名前は、彼女の脳裏に深く刻み込まれたものだった。父親がいまはの際に言い残したという言葉なのだ…。運命に導かれるまま、ドロテは城内の動静を探りにかかった。その彼女の前に、父の死の真相、二百年後の再生を予告して古塔にこもった男の存在、ラテン語の銘句を鍵とする財宝の謎が次々と浮かび上がってくる。そして、一連の事件の陰に日なたに跳梁する凶悪な殺人犯!果たして財宝は誰の手に落ちるのか…?少女の大活躍を描くルブランの会心作、新訳決定版にて登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
19
「大空のドロテ」というルパンのパスティーシュを手に入れて、これはルブランの「綱渡りのドロテ」の次の物語だと知ってさがしました。ふむ、ルパンは出てこないけど、ドロテという魅力的な少女が主人公の、歴史をネタにした奇妙な冒険ですね。二百年の間眠りについていた謎の男の子孫たちが見つけたものは何か。──とはいえ悪いだけの悪漢のキレがイマイチだし、必ず老若の男たちに崇拝されるドロテの超人ぶりがいささかなんだな、というのが引っかかる。むー、ルパン・シリーズをいずれ読み直したかったんだけど、どうしようかな。2018/06/28
Cinejazz
18
怪盗紳士アルセ-ヌ・ルパン(創元推理文庫は「リュパン」と呼称) の化身か、とも思えるサーカス団の女座長ドロテが、フランスの古城に秘匿された財宝をめぐり、知恵と勇気で波乱万丈の活躍を繰り広げる冒険活劇篇。 欧州での先の大戦で父母を亡くしたドロテは、四人の戦争孤児の母親役として養育を自らに課して生きる、高貴な血筋の若きプリンスであることを知る世の男性諸氏にとって “永遠の渇望の象徴” として描かれた崇高な精神性をもつヒロイン像は、読者を魅了してやまない。2025/04/19
Ribes triste
12
旅のサーカス団の女座長である美しい少女ドロテ。父のいまわの際の言葉にあった「ロブレー城」へ向かった彼女は、隠された財宝をめぐる争いへと巻き込まれていく。勧善懲悪の冒険活劇。勇ましいヒロインが格好良かった。2019/05/05
Tetchy
8
古き良き時代の冒険活劇を匂わせ、また主人公を活発で美しい女性に設定したことで、その万能さもあざとく映らず、快い。二世紀を隔てて各国から信じ難い遺言を便りに再開するという展開が私の胸を打った。2009/03/12
s - bill
7
リュパンにハマったのが45歳頃…そんな年齢になってもハラハラドキドキさせてくれました。そして55歳の今、ドロテを読んでハラハラドキドキ。地名等の名称に馴染みがないものがあり状況がつかみにくい点はあるものの、細部には拘らず物語を追うのがよいでしょう。絶体絶命のピンチからいかにして逃れるか…というリュパン同様のスリルがたまらないです!究極の知恵と勇気があれば道は開ける…。読み進めるほどに、ドロテってどれだけ魅力的な女性なんだろう…という好奇心が掻き立てられます。ラストも爽やか、良い作品に出会えました。2024/10/05
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