内容説明
新発明の設計図を携えて、息子の元に旅立ったロンドンの富豪、ジョン・マギル卿が北アイルランドで消息を絶った。しばらくして、彼の遺体が息子の家の庭から発見されるが、息子にも他の容疑者たちにもアリバイがあった。失踪直前のマギル卿の不可解な行動、謎の男、アリバイの秘密など、もつれた糸をフレンチ警部は着実に解きほぐしていく。著者の作品の中でも一、二を争う名作。
著者等紹介
クロフツ,フリーマン・ウィルス[クロフツ,フリーマンウィルス] [Crofts,Freeman Wills]
1879年アイルランド、ダブリン生まれ。鉄道技師であったが、病を得て長く休養した間に構想した『樽』を1920年に上梓し、好評を博す。続いて『ポンスン事件』『製材所の秘密』『フローテ公園の殺人』を発表。第5作『フレンチ警部最大の事件』でフレンチ警部を創造し、以後探偵役として定着させた。1957年歿
橋本福夫[ハシモトフクオ]
1906年、兵庫県に生まれる。1930年、同志社大学英文科卒業。訳書多数。1987年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kircheis
231
★★☆☆☆ フレンチ警部シリーズ。 『フレンチ警部最大の事件』のように、丁寧かつ地道な捜査の過程が詳細に描かれる。 旅情あふれる風景の描写や、アリバイ崩し等、同シリーズの十八番といえる要素が詰まった作品ではあるが、残念ながら大体のオチは序盤で読めてしまうし、その程度の謎に対して亀のように鈍い捜査の進み方(リアルではあるが)に、退屈してしまう部分も多かった。 そのため、シリーズの中では微妙な出来栄えの方だと、個人的には感じてしまった。2021/12/26
セウテス
76
フレンチ警部シリーズ第6弾。〔再読〕旅とアリバイ崩しのクロフツ氏の、初期の代表作の一つであろう。ロンドンに住むマギル卿は、息子マルカムが住む北アイルランドへ向かったのだが、途中で行方不明となる。やがてマルカムの自宅敷地内から、マギル卿の遺体が掘り起こされる。アリバイ崩しは、その特質から意外な犯人という楽しみが無いトリックですが、本作はその部分にも工夫が見られると思う。一つ一つ積み上げていく様なフレンチ警部の捜査と、フェアに謎解き勝負を堪能出来る事は最高です。自分の推理が、警部と同じだった感激は忘れない。2017/01/22
geshi
30
行方不明に端を発しイングランドと北アイルランドを行き来しながら一歩ずつ真相に迫っていく、リアル路線ミステリの王道にしてフレンチ警部シリーズ決定版と言っていい作品。死体が発見されない状況にやきもきして、捜査の進展と行き詰まりに一喜一憂し、アイルランド警察の協力を得ながら地道な捜査を続ける、この一歩ずつ感が読んでいて楽しい。半面、間延びしている場面もあるのはリアリティーのデメリット。トリックのアイデア自体は単純だが、そこに至る全ての捜査と疑問がしっかりと繋がるカタルシスが得られる。2021/12/24
星落秋風五丈原
27
本作はフレンチ警部シリーズでも一、二を争う“代表作”らしい。とあって、著者も煽る煽る。『ジョン・マギル卿事件は、フレンチが今までに取組んだ難解な事件中でも最大の難解な事件と言ってよかった』『長いあいだその例を見なかったほどの陰惨な悲劇の、開幕を告げるベルが鳴りだしたわけなのだ』フレンチ警部はこの事件に乗り気ではない。時系列としてはフレンチ警部と紫色の鎌』から13か月経過という設定。アイルランドでいなくなったんだからアイルランド警察が探せばいい!とフレンチ警部は何度も固辞するがアイルランド警察は退かない。2021/05/14
bapaksejahtera
13
北アイルランドで亜麻製糸で財を成したマギル卿は、事業を息子に譲りロンドンで暮らしていたが、リネンの混紡法を企画して故郷に戻る。同地で行方不明となった上遺体が発見される。事件は同氏の遺産を巡る悪漢グループによって引き起こされたのだが、物語は訳者の後書きにもある通りのくどい展開で、警視庁地方警察間の行きつ戻りつの捜査が続く。旅好きなフレンチによる旅行記的趣があり、アイルランド-イングランド間の土地勘がないと地図掲載付きと言えど解りにくい。「親しみ易く近づき易い」フレンチだから我慢して読みはしたがやや食傷した。2022/03/04
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