出版社内容情報
フリーマン・W・クロフツ[クロフツ]
著・文・その他
田中西二郎[タナカセイジロウ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
77
★★★★☆ フレンチ警部のデビュー作。 クロフツといえば何と言っても有名なのは『樽』であるが、個人的には本作の方が好み。 『樽』は様々な登場人物が、交代しつつジワジワと真相に迫っていくが、本作はフレンチ警部が最初から最後まで主役として謎を追う。その点で感情移入がしやすかったのかもしれない。 田中西二郎氏の訳が、40年以上前の古いものであるにもかかわらず、非常に読みやすいのも好きな理由の一つ。2019/06/27
セウテス
53
〔再読〕クロフツ氏と言えばフレンチ警部、後に警視に出世しましたが、作者五作目の本作品がフレンチ警部の初登場でした。この後警部は、作者の作品に殆んど登場する主人公になります。彼は極めて普通の真面目で勤勉では在りますが、名探偵とは程遠い只の警察官の一人にすぎません。一歩一歩情報を得て一歩一歩真実に近ずいていく展開は、フレンチシリーズの特徴であり楽しさでも在ります。読者の中には警部より先に、真実を見破る方も現れる事でしょう。たいへん読みやすい上に、フレンチの人柄も良くフェアな作品です。こんな海外物も在るんです。2015/10/25
本木英朗
31
英国の本格ミステリ小説のひとりであるF・W・クロフツの作品のひとつである。もちろん俺は初めてだ。宝石商の支配人が殺害され金庫からダイヤモンドと紙幣が消えた。事件当夜、支配人は職場を離れて舞い戻った形跡があり、状況証拠はことごとく彼に不利だが決め手にはない。加えてアムステルダム支店の外交官が消息を絶っている。ヤードから派遣されたフレンチ警部である……という話だ。とにかく読もう、それしかないって。ホームズ型探偵とは違ったフレンチ警部の推理を楽しもう。……というわけでまたいつか読むね。2021/06/29
星落秋風五丈原
22
宝石が亡くなり殺人事件が起こるところは後の作品『ギルフォードの犯罪』と共通。2021/08/09
bapaksejahtera
16
古典探偵シリーズの第一作。1925年の作品で翻訳者も明治40年生と雰囲気は十分。チップを「祝儀」と訳すのも良い。英国警視庁の捜査体制は現在と違うだろうスタッフシステムで捜査課長の下にフレンチ警部がいて動き回る古典的な仕組み。彼の思考は読者を煙に巻くことはない。捜査によって明らかになる事実を積み上げて犯人に迫る、私好みのスタイル。行詰ると愛妻と炉辺で語り合って新たな展開を図るのも良い。「お世辞のジョー」と渾名される愛想の良さだが、WWⅠで息子をなくしている苦労人。宝石強盗と詐欺を主題とし欧州を駆巡る。佳作。2021/10/10
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