出版社内容情報
常に傍観者として、過剰なほどの興味をもって他者の人生を眺めて過ごしてきた小柄な老人、サタスウェイト。そんな彼がとある屋敷のパーティで不穏な気配を感じ取る。過去に起きた自殺事件、現在の主人夫婦の間に張り詰める見えざる緊張の糸。その夜屋敷にを訪れた不思議人物ハーリー・クィン氏にヒントをもらったサタスゥェイトは、鋭い観察眼でもつれた謎を解きはじめる。女王クリスティならでは深い人間描写が光る12編を収めた短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
43
安楽椅子探偵ものになるのでしょうか。ポアロやミス・マープルと異なり示唆を与えるのがハーリー・クィンという存在なのでしょうか。短編ながらも人間観察がしっかりしていて、綺麗に推理がまとまる印象を受けました。面白かったです。2024/01/17
みつ
37
先に読んだ『初夏ものがたり』の解説で全短篇に登場する謎めいた紳士タキ氏を本作のクィン氏に準えていたことから、3回目の読了をすることに。邦訳の『・・事件簿』(旧訳を踏襲)は、ハヤカワ文庫の『謎のクィン氏』の方が原題通りでしっくりくる。いずれの短篇でも出ずっぱりとなるサタスウェイトは冒頭作で62歳、6作目では69歳で、今や自分と同年代。いわば人生の傍観者として彼が出会う人々の人間模様をつぶさに見つめる連作では、謎は事件よりも人の心の中にある。クィンは、それを表面に出すための触媒作用(p180)のようなもの。2026/06/05
M H
23
3回目の読了。新訳はイイネ!と思ったけどもともと読みにくい訳ではなかったような。サタスウェイトの目を通して覗き見するのは、どんな形で発露するにしても愛。ある意味美味しい部分で、真っ向からロマンチックな「海から来た男」が好き。でも、覗き見に冷水をぶっかけて掉尾を飾る「ハーリクィンの小径」がまたラストシーンまで素晴らしい。傑作。2020/05/23
くさてる
21
ハヤカワで既読の短篇ばかりのはずだけど、初めて読んだかのように面白く読めました。クリスティは幻想怪奇風の短篇もいいんですよね。クインのシリーズはミステリと幻想味が調和していて、独特の雰囲気があってとても好きです。良かった。2020/05/30
えむむ
15
お久しぶりのハーリー・クィン。色々忘れてて、楽しく読めた。後書きで、海から来た男が、発表時の最終話と聞いて納得!あの話で一気に幻想的になる。文庫最終話の、ハーリー・クィンの小径も余韻がある。他の2編も読みたかった。☆追記:「マン島の黄金」に、本当の最終話「クィン氏のティーセット」がありました!2023/08/13




