出版社内容情報
クリスマスの早朝、ウェストヴァージニアの小村の丁字路で、T字形の道標にはりつけられた男の首なし死体。この怪奇な事件は半年後、第二の首なし死体の出現をもって、全米を震撼させる一大事へと発展する! 「T」の意匠に彩られた連続殺人に相対するは、青年作家エラリー・クイーン。推理の連打と壮絶な追跡劇の果てに、名探偵が神域の論理により看破する驚愕の真相とは? 国名シリーズに堂々屹立する、本格ミステリの金字塔。
エラリー・クイーン[エラリー・クイーン]
中村有希[ナカムラユキ]
内容説明
クリスマスの寒村で起きた、丁字路にあるT字形の道標に、首を切断されたT字形の死体がはりつけにされる酸鼻な殺人。半年後、遠く離れた土地で第二の首なし殺人が発生したのを知ったエラリーは、ただちに駆けつけ捜査に当たる。“国名シリーズ”第五弾は、残酷な連続殺人に秘められた驚天動地の真相を、名探偵が入神の推理で解き明かす、本格ミステリの金字塔。
著者等紹介
中村有希[ナカムラユキ]
1968年生まれ。1990年東京外国語大学卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yucchi
46
創元旧訳、角川新訳ときて3回目。解説にもあるが1932年は『Xの悲劇』『Yの悲劇』『ギリシャ棺の謎』今作が発表された、まさにミステリ史に残る当たり年。いつもは頭脳派のエラリーだが、今作は車で飛行機であちこち移動しアクティブな一面もあり。パパの出番が少ないが、代わりにヤードリー教授が活躍する。数々の作家をトリコにしたのも納得の作品。2016/10/30
Kiyoshi Utsugi
42
「ギリシャ棺の謎」と共に、国名シリーズの最高傑作と言われるもの。 事件が起きたのがニューヨークではないため、父親のリチャード・クイーン警視はほとんど登場することなく、息子のエラリー・クイーンの独壇場となります。 その代わりというわけではないのですが、エラリー・クイーンの大学時代の恩師であるヤードリー教授がワトソン役で登場します。 T字路にあるT字形の道標に、首を切断されたT字形の死体が磔にされるという凶悪犯罪から始まります。 犯人はヤードリー教授だとずっと思ってました。😅2021/07/24
みなみ
32
クイーンの国名シリーズ第五弾。首を切断されたT字形の死体が磔にされる事件が連続して発生し、エラリーが捜査に当たる。残念ながら犯人を当てることは出来なかったけれど、真相が分かったときの驚きは格別。犯人に繋がる手掛かりもきちんと書いてあって、改めて読むとクイーンのフェアプレイが良く分かる。動機はあまり納得できなかったものの、犯人当てとしては不朽の名作だろうと感じる。2025/01/12
まなつ
32
クリスマスの寒村で起きた、T字路にあるT字形の道標に、首を切断されたT字形の死体がはりつけにされる酸鼻な殺人。“国名シリーズ”第五弾!読者への挑戦状を受けて、よーく考えてみたんだけど全く分かりませんでした😅第2の殺人から一気に登場人物が増えて、みんながみんな妙に怪しく、都合のいい嘘を並べるものだから、ヴォーン警視じゃなくても翻弄される。頼みの名探偵エラリーもTに惑わされて途中まで形無し‥。後半のド派手な追跡劇は手に汗握る面白さ!何故惨殺死体に顔がないのか?シンプルに考えれば、もしかしたら分かったのかも。2018/12/20
もち
30
「二連発銃でとどめをささないと――論理と常識という弾で」◆丁字路に立つT形の標識に、磔られた首無し死体。その現場の何もかもが、狂気を指し示していた。続いて起きる「T」殺人。終わらない血の復讐劇は、わずかな手掛かりを元に姿を変えていく――■シリーズ第5作。矛盾と不整合だらけの事件だが、解明の第一歩となる推理は実にシンプル。だからこそこの上なく美しい。クライマックスの追跡劇は緊張感抜群。1932年に捻り出された、推理小説のマスターピース。2016/08/15