出版社内容情報
大病院の創設者である老婦人が、手術直前に絞殺された。エラリーの鋭敏なる頭脳は真犯人を指摘できるのか。犯人当てミステリの名作として世に名高い〈国名シリーズ〉第3作。
内容説明
“オランダ記念病院”の創設者である大富豪の老婦人が、緊急手術の直前に針金で絞殺された。たまたま病院に居合わせた作家エラリーの指図で事件現場はただちに保存されるが、検証を進め関係者の証言を総合しても、手術着姿の犯人の正体は皆目つかめない。やがて再び病院内で殺人が…!犯人当てミステリの最高峰として歴史に名を刻む“国名シリーズ”第三作。
著者等紹介
中村有希[ナカムラユキ]
1968年生まれ。1990年東京外国語大学卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
がたやぴん
52
国名シリーズ三作目。地味と言われればそうなんだけど、徐々に出来が良くなる印象。ジェーナの小さな活躍が嬉しい今作。読者への挑戦は8割しか解けず、考えが及ばなかった自分が残念。また、解説にもあるようにノンプロ時代の作品だそうです。仕事として書いていないからこそ、派手さや、奇を衒うようなトリックにこだわらず作られたように思います。2015/01/12
bookkeeper
48
★★★★★ 初読。大富豪ドールンが病院の緊急手術前に殺害された。財産目当ての親族・不仲な関係者・研究費を当てにする科学者…多数の利害関係者が集う院内に潜む真犯人ば誰か…。 どろどろした人間関係や生々しい動機などかっ飛ばして、純粋な論理によって真犯人を導き出す清々しさ。読者への挑戦状の後、解決編で示される推理は水晶の様に透明で堅固です。結論に必要な証拠はしっかりと提示され、なおかつ犯人は意外。うーん、素晴らしい。クィーン氏の鼻につく喋りも気にならなくなってきた(笑)。「"希望は世界の中心を支える柱"さ」2025/10/04
おか
42
久しぶりのエラリー・クイーン 「何とシャム双子の謎」を読んでから7年が経っていた。今回も犯人は誰か!の挑戦は一切無視して(笑)ただ只管文字を追い続け きちんとクイーンさんに出していただく(笑)結末はそんなこと私にはわからない❕といじける場面もありましたが まぁまぁ納得ですね。気になったのは シャム双子の時よりエラリーさん歳取った?歳取ったのは私か(笑)2024/05/17
みなみ
33
国名シリーズの三作目。病院を舞台として老婦人が殺害されるところから始まり、関係者を事情聴取していく。怪しい登場人物が沢山登場するなかで、理詰めで犯人を絞り込んでいくのがとても面白かったが、細かなところまでは当てることが出来なかったのは悔しい。元々の章のタイトルが「…ion」で終わるのがお洒落だけれど、日本語では再現が難しいと感じつつ読了。2023/05/21
カノコ
30
大富豪ドールン老婦人が手術の直前に絞殺された。現場に居合わせたエラリーは、手術着姿の犯人の正体を探す。〈国名シリーズ〉三作目。今回のキーアイテムは犯人が着用していた紐の切れた靴。推論を積み重ねた先に導かれる犯人の姿は、なぜ自分で気付けなかったのだろうと悔しくなるほど明快で、"犯人当てミステリの最高峰" と謳われるのも納得。ストーリーの起伏や面白さは相変わらず今ひとつだが、犯人の名前が明らかになるシーンの緊張感には痺れた。その瞬間のためだけに、それまでの三百頁超が存在している。研ぎ澄まされた美しいミステリ。2024/05/06




