内容説明
往年の大女優が怪死を遂げたとき、折悪しくハリウッドに居合わせたエラリーは現場へ急行する。しかし、ダイイング・メッセージや消えた遺言状、徐々に明らかになる背景、そして続発する事件に翻弄され、幾度も袋小路を踏み惑うことに。シェークスピアをこよなく愛した女優の居城を十重二十重に繞る謎の真相とは―。創作の過程をも窺わせる、巨匠エラリー・クイーン最後の聖典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
67
収められているのは、中編「動機」、それぞれ3つの短編からなる「クイーン検察局」と「パズル・クラブ」と、「間違いの悲劇」。「間違いの悲劇」は、ダネイが梗概を書き上げたもののリーが亡くなったために小説として完成させることができなかった。ダネイが他の作家と組んで長編化するという計画もあったが、ダネイの死去で実現には至らなかったという。リーに読ませる梗概だったとはいえ、我々普通の読者が読んでも十分おもしろい。リーはこの梗概をどのように広げていったのだろうと、それが読めないのが残念だ。2022/04/22
Tetchy
51
表題の未完成長編のシノプシスにクイーンの未収録短編作品も織り込んだ贅沢な一冊。そして着目すべきはやはり表題作。クイーンの代表作『~の悲劇』の題名を継ぐだけあって、その真相は二転三転し、読者の予断を許さない。しかもその真相には後期クイーン問題も孕んでおり、読後の余韻は『九尾の猫』や『十日間の不思議』に似たものがある。作品として完成していれば後期の代表作の1つになっていたのかもしれない。よく考えてみると『~の悲劇』の題名がついた作品でエラリーが活躍するのは本作だけ。本書こそクイーンのシリーズ最終作に相応しい。2013/07/05
藤月はな(灯れ松明の火)
36
短編集なのに「読者への挑戦」が各短編に付いているロジック好きには堪らない短編集。しかし、「それ、後出しジャンケンじゃない・・・」と思わせるものも否めず。英語の言葉遊びなんてその意味合いを知っていなければ楽しめなくて自分の知識力の少なさにがっかりしてしまう。シェークスピアの悲劇をモチーフにした表題作はバークリー作品ぽいな・・・。これは長編で読んでみたかった。2016/11/23
ぽんすけ
25
なんかちょっと薄いんじゃ?と思ったら、この巻でエラリーシリーズは終わりなのか。読み始めた時はかなり長いシリーズだと思ったのにな。ローマ帽子を読んだのがちょうど去年の四月だから丸々一年楽しませてもらったのか。若いエラリー、中年のエラリーそれぞれ味わいが違っていたし、大好きなパパも堪能できたわ。良い読書でした。今回の短編はエラリーは出てこなかったが最初の「動機」が面白かった。犯人のあたりはすぐついたけどドキドキもあった。間違いの悲劇はプロットだということだが面白かった。有栖川先生の小説版読んでみたかったな2026/04/10
よるのもち
19
リーが逝去した為完成に至らず、ダネイの作った梗概の状態で残された「間違いの悲劇」。やはり味気なさはあるが、それでもプロットの面白さは充分に堪能できる。これが小説として完成していたらもっと凄いことになっていたんじゃないのかなと想像を膨らませてしまった。一緒に収録されている短編は首を捻ってしまうような内容のものが多かったが、一番最初のミッシングリンク中編はシンプルに面白かった。2024/09/27
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